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雨の日に 1
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その日はニュースで言っていたとおりのどしゃ降り。
俺は容赦なく窓に叩きつける雨音にため息をついた。
「はー…雨かぁ」
「どうしたマナ。傘でも忘れたのか?」
窓際で黄昏ていると、不意に声をかけられる。
振り返ると、そこには事務所の先輩の姿があった。
「ともさん!おはようございます!傘はちゃんと持ってますよー!今日は朝からずっと雨じゃないですか」
街の明かりがギラギラの輝いて眩しいほどに明るいけれど、時間帯は既に夜。
それでも、この世界では挨拶はいつでも『おはようございます』から始まるのだ。
「で、雨がどしたの?」
「いやー今日仕事のあと人と会う予定があって…、けど雨だと髪がこう、うねりますよねーそれがちょっとやだなーって…」
俺が、自分の髪の毛をくるくると指にまく仕草を見せながら、歯切れ悪く言うと、ともさんはニヤニヤと笑いながら「女みたいな事言うなよ!なんだ?デートでも行くのか?」と、質問してくる。
「あー…多分、デートでは、ないんですけど」
これまた歯切れ悪い返答。
どう答えるべきなのか考えていると、スタッフさんに声をかけられて、その話は打ち止めになった。
「はい、今行きます!」
そう返事をして、俺とともさんは指定されたブースへと向かう。
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