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雨の日に 4
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「お疲れ様でした!」
いつもより、大きな声で挨拶した俺は浮き足立って、ラジオ局を後にする。
ともさんには「デート頑張って来いよ」と笑われながら送り出された。
「だからデートじゃないですってば!」
そう言いながらも、顔が緩んでしまう自覚はあった。
事前に予約してある店の時間にはちょうどに到着出来そうだ。
しかし、雨なんてついてない。
気分はどんなに浮き足立っていても、歩く度にはねる水で、じわじわと濡れていくズボンの裾。
せっかくお気に入り選んだのに。
家を出る前に気合いを入れてセットした髪はもはやとんでもないことになっている。
無造作ヘアアレンジにしても無理があるよな…。
ふとした瞬間に、ビルのガラスに映る自分の姿に辟易した。
本当、雨は困る。
信号待ちのタイミングで、携帯を取り出してメール画面を開く。
『お疲れ様です。今、お店に向かってます。あと10分ほどで着くと思います。そちらはお仕事どうですか?』
約束の相手にメールを送る。
するとすぐに返事を知らせる音が鳴った。
『お疲れ様。僕はもう着いてますよ、気をつけて』
その文面に思わず声が出そうになった。
やばい!急がなきゃ!
オレは歩くスピードをあげて目的地に向かう。
心臓がドクドクと拍動をあげているのが分かった。
先ほどとは、比べ物にならないくらいに、ビショ濡れていくズボンの裾も、気に留めなかった。
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