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飛べない籠の中の鳥【榎月】*04
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さっきまでの赤らんだ顔も、足元のふらつきも、まるでなかったかのように、ちなはさんは学園からここまで自分の足で歩いてきた。
聞きたい事は、山ほどある。
これも何かの縁だ。
今日こそは…
「ちょっと、ちなは。あんた、まさか会長サマに送って貰っておいて、お茶も出さずに帰らせる気?」
「会長サマが勝手に、ここまで付いて来たんだよ…」
きいやさんの言葉に、不満そうな表情を浮かべるちなはさんの頭を無理やりきいやさんが下げさせた。
「うちの愚弟がお世話になり、ありがとうございました。汚いところですが、良かったら上がって行って下さい。すぐにお茶を用意させますので。」
「用意させますって、僕はきいやちゃんの家政夫じゃないし。部屋だって…」
ちなはさんが口の中でブツブツと愚痴を零す。
「ちなは、何してるの?文句は良いから早くして。」
渋々、暗証番号を入力して施錠を解除すると、扉を開けて私を振り返った。
「汚い部屋ですが、どうぞ…」
どうやら、一人部屋のようだ。
きいやさんが訪ねて来る事を考えての事だろう。
「逆に気を遣わせてしまって、済みません…」
「とんでもない!ちなは、お茶。」
「分かったよ。会長サマ、適当にその辺に座って待ってて。」
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