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飛べない籠の中の鳥【榎月】*06
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「流石に、そこまでは…」
「…食べて行ったら?どうせ、コンビニ弁当かパンで済まそうとか思ってるんでしょ?」
少しして、ちなはさんが濡れた髪にタオルを乗せて、拭きながら戻ってきた。
「次は、私ね…」
「待って、会長サマが先。」
きっぱりと言い放つちなはさんに、立ち掛けたきいやさんが素直に座り直した。
「間取りは、そんなに変わらないと思うけど…」
半ば、ちなはさんの真意を確かめる為に彼の言葉に従う。
「…タオルはここ。取り敢えず、替えのナイトウェアはフリーだから着れると思う。脱いだシャツは洗って良いなら、今すぐ脱いで。」
言われた通り、ちなはさんに脱いだシャツを渡した。
皮脂汚れが気になる首や手首周りに洗剤を付け、それを綺麗に畳んで洗濯ネットに入れる。
「ねぇ、会長サマ…」
意外ときっちりした一面が垣間見え、好感を覚えた。
「…はい。」
ちなはさんが、言いにくそうに視線を泳がせながら私を見上げる。
「言いたい事は何となく分かるけど。さっきの事は、きいやちゃんには黙ってて欲しい。」
すぐには返答せず、暫くちなはさんと見詰め合う。
すると、彼の唇が切れている事に気付いた。
「この傷は、一体、誰に…」
無意識に彼の唇を親指でなぞる。
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