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飛べない籠の中の鳥【榎月】*08
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リップを引くように舌で唇を舐められ、昼間の事を思い出した。
脱衣所の壁に背を預け、ちなはさんの腕の檻の中に閉じ込められて再び逃げ場を失う。
「ま、待っ…んんっ…」
私の制止の言葉を掻き消して、舌が口の中に侵入してきた。
あぁ、また…
振り払おうにも、力が抜けて引き剥がす事が出来ない。
動けず、どうして良いのかも分からないままちなはさんを見た。
舌先が触れ合い、それが合図になったのか舌が絡み付いてくる。
歯列をなぞり、上顎を舌で撫でられるとゾクリと背筋に何かが走った。
何だ、今の…
思わず、未知のものから逃れようと彼の胸を押し退けた。
「…っ。」
ちなはさんから甘い声が漏れ、咄嗟に唇が離れる。
「待って下さい。ダメですよ、こんなの…」
「ダメ、待ってない…」
私の抵抗も虚しく、再びちなはさんに唇を奪われて彼を止めるに至らない。
「だから、本当にやめ…」
そう思った瞬間
「…何、やってんの?」
きいやさんが脱衣所の扉を開けた。
「無防備な鴨ネギが、律儀にお鍋を持参してのこのこと近付いてきたから、このまま流されてくれると思ったんだけど。残念…」
妖艶に口元を緩めたちなはさんが
「…口止め料は払ったから、ね。」
私の耳元で、そっと囁いた。
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