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飛べない籠の中の鳥【榎月】*10
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主菜に、鮭の塩焼き。
副菜に、カイワレと冷しゃぶのサラダ、タコとキュウリの酢の物。
そして、炊きたてのご飯にワカメと豆腐のお味噌汁、自家製のナスの浅漬けが添えられて…
「無難なものを選んだつもりだけど、口に合わなければ、残してくれて良いから…」
ちなはさんが、そう言いながら新しい湯のみに温かい煎茶を注いでくれた。
どれも定食屋などで、良く見かける和食の定番メニューだ。
「…頂きます。」
手を合わせて軽く頭を下げる。
副菜から順番に口に運ぶと、目からウロコが落ちそうなくらい今まで食べた中で、一番美味しく感じられた。
「美味しい、です…」
「良かった!」
きいやさんが嬉しそうに笑う。
「…これは、きいやさんが?」
彼女の反応に、首を傾げながら尋ねてみると…
「違うよ。」
ですよね…
「ちなはのお料理スキルは言わば、この私のお陰だからね!感謝してよ!」
「…何だか納得出来ないけど。まぁ、良いよ。」
キッチンに立っていたのは、ちなはさんのはず。
「私、おにぎりなら作れます。」
「私だってお鍋一つあれば、色んな味のラーメンが作れる!」
「即席ラーメンも、料理って言うのかな…」
一瞬、お互いの顔を見合わせると誰ともなしに、一斉に吹き出した。
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