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キスから始まる恋愛事情【榎月】*02
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「手を見せて下さい。」
きょとんとするちなはさんの両手を取り、改めて火傷の確認をする。
「赤くなってますね…」
消毒液を取り出し、彼の手にそっと塗り込んだ。
「全く、ばい菌が入って化膿でもしたらどうするんですか?火傷を軽視しすぎです。」
黙り込むちなはさんの顔を覗き込むと、不思議そうに私を見る。
「聞いてます?」
「…どうして?」
首を傾げるちなはさんに、私も首を傾げた。
「性欲処理に使いたい訳でもなく、僕を売って金儲けしたい訳でもない会長サマにとって、何のメリットがあってこんな事をするの?何もないよね?」
ちなはさんから悲しい言葉が溢れて、ちくりと胸が痛んだ。
「あなたから既に、頂いているからですよ。美味しいご飯を沢山、ご馳走になりました。」
傷口に絆創膏を貼り、彼の手を握る。
「もっと、ご自分を大切になさって下さい。」
「…もし、選択肢がなかったら?」
真っ直ぐにちなはさんが私の目を見た。
「…例え嫌だったとしても、僕がそれを放棄する事で代わりに僕の大切な人が酷い目に遭うかも知れない。その時は、どうすればいい?自分を守る為に、その人を犠牲にするの?もし、そうなったとしたら、僕はずっと死ぬまで後悔し続けると思う。」
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