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キスから始まる恋愛事情【榎月】*06
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肩に手を掛けたものの、力づくで引き剥がすのも心地良く眠っている相手に、気が引けた。
体勢を変え、無理のない落ち着き場所を探す。
「…何だか昔を思い出しますね。弟たちも良く布団に潜り込んできては、私を抱き枕代わりにしてましたっけ。」
小さく笑い、置き場所に困った腕をちなはさんの枕と首の隙間に伸ばした。
睡眠薬がないと眠れないというのは、とても悲しい。
「薬がなくても眠れるのが、一番なんですが…」
弟たちをあやすように、軽くリズムを付けて彼の肩を叩く。
薬がなくても安心して眠れる日が来る事を願いながら、ちなはさんの寝顔を見ている内に私も深い眠りへと落ちていった。
***
もぞもぞと腕の中で何かが動く。
まだ眠いのに、起こさないで欲しい。
「後で遊んであげますから、もう少し寝かせて…」
腕の中の誰かの頭を軽く数回撫で、優しく抱き締めると、人肌の温もりがとても心地良く、再び眠ろうとして違和感を覚えた。
梛月(なつき)の髪にしては柔らかく、杷月(はづき)にしては大きい。
ならば、橘月(たつき)?
いや、違うな…
寝ぼけ眼で目の前にいる顔を確かめてみると、頬を赤く染めたちなはさんが。
「済みません、弟たちと間違えてしまいました…」
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