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キスから始まる恋愛事情【榎月】*07
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目を擦り、眼鏡を探す。
「…起きますか?」
「まだ寝てていいよ。三時間しか経ってない。」
ちなはさんが私の体を踏まないように移動すると
「気にしないで。僕、あまり寝ないんだ。シャワー浴びてくる。」
そう言って悲しそうに笑う。
彼が起きるなら、いつまでも眠いなんて言ってられない。
体を起こして、取り敢えずその場に座り込んだ。
睡魔と戦うも時には負け、まどろんでは、ふと目を覚ますのを何度か繰り返す。
「横になって寝ればいいのに…」
笑いを含む声すら心地良く、次に目を開けた時には隣にちなはさんがいて、彼の肩を借りている事に気付くまでに少しだけ時間が掛かった。
パラっと、小さくページをめくる音が聞こえる。
何かを読んでいるようだ。
「…済みません。寝てました?」
「少し。やっぱり僕も寝るから腕枕して。」
ちなはさんに引き込まれるように横になると、成り行きで彼に腕枕をする。
ちなはさんを抱き締めて髪を撫で、軽く背中を叩いた。
「目を閉じて。大丈夫です。薬がなくても、眠れるようになりますよ…」
穏やかに脈打つお互いの心音を聞きながら、温もりを共有する。
「大丈夫…」
そのまま、ゆっくりと再び眠りに落ちていき…
夢を見た。
ちなはさんの夢だ。
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