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キスから始まる恋愛事情【榎月】*09
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ちなはさんを起こさないように、慌てて自分の部屋に逃げ帰る。
こういう時、オートロック式のドアの有り難みを改めて再確認した。
自分が出た後も、無用心に開けっ放しにしなくて済むからだ。
頭の中が混乱して、鼓動が煩い。
今、思い返してもとてもリアルな感触だった。
ちなはさんの唇の柔らかさも。
舌の弾力や、肌の温もり、腰の細さも。
はにかむような笑顔や、匂いでさえも。
どのちなはさんも、自分の知っている彼で驚きを隠せなかった。
賑やかで楽しい三人の時間。
二人で過ごす穏やかな時間。
お互いを求め合い、激しく一つに溶け合うような情熱的な時間。
マズイ。
何だ、これ…
このままだと申し訳なくて、ちなはさんの顔が見れなくなる。
私は、ちなはさんとそういう関係を望んでいるのだろうか?
確かに彼とは、成り行きで何度もキスをした。
意外にも、嫌な気にはならず…
心地良いとさえ思った事もある。
それが間違いだ。
少なくとも自分は、違うと思っていた。
例え、女性と瓜二つの外見だったとしても、彼は性の対象にはなり得ないと。
そう思っていたのに。
これでは、その辺の奴らと変わらないじゃないか。
脳裏に彼の言葉が蘇る。
『キスだけでその人を好きになれるんだって…』
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