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恋人ごっこ【ちなは】*09
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そう言えば、きいやちゃん…
もう戻って来てるかな?
そう思いながら部屋に入ってみると、誰の気配も感じない。
「きいやちゃん、まだみたい…」
いつも、きいやちゃんがいないだけで寂しい気分になる。
「何処かへお出掛けですか?」
「うん。さっきジョギングしてくるって…」
グラタンをアレンジしたクラムチャウダーと米粉パン、アサリ、ブロッコリー、ミニトマト、玉ねぎ、オリーブオイルを垂らして塩胡椒で味を整えた白身魚に、スライスしたニンニクを乗せ、蒸し煮したアクアパッツァが、そのままになっている。
「…あぁ、そうだった。メールしても電話しても繋がらなかったから呼びに行ったんだっけ。」
すっかり冷めてしまった朝食を片付けようとする手を止められ
「頂いていいですか?」
「でもこれ、もう冷めちゃってるけど…」
そう言った会長サマが気にした様子もなく、椅子に腰を下ろすとスプーンを手にする。
「食べるの?温め直そうか?」
「…いえ、このままで。」
穏やかな笑顔を浮かべて、食べ始めた。
「とっても美味しいです。」
無理しなくていいのに…
嬉しいような、恥ずかしいような、くすぐったい感覚に身を持て余す。
「お昼は、軽めに炊き込みとうどんにするから…」
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