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着せ替え人形【榎月】*10
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「どちらかと言えば、未払い商品を試着したまま店外に出たのが原因では…」
そう言って、咳払いをひとつ。
「…あぁ、そうだった。ちなはが突然、飛んで行ったから!」
きいやさんのその言葉に、また顔が綻んだ。
「彼女たちに付いて行きたかったのを邪魔してごめんね。会長サマの鼻の下、伸びてたよ。」
憎まれ口を叩くちなはさんの痛いほどの視線を感じ、気持ちが踊る。
「私が声を掛けられた時には、程なくしてあなたが隣にいたので、鼻の下を伸ばすような時間はありませんでしたよ。」
何気なくちなはさんの隣に並び、きいやさんに隠れて後ろ手にこっそり彼の指を攫う。
そして、そのままちなはさんの手を軽く握った。
「…ズルくない?」
「何がでしょう?」
少し、拗ねたような顔が可愛い。
「僕には会長サマだけって言った癖に、自分は女の子たちと遊ぼうとして…」
「そう見えましたか?私には全くその気はありませんでしたけど。」
彼女たちより、ちなはさんを見ていた回数の方が多かったように思うけれど、これは言わないでおこう。
「怒ってます?」
ヤキモチを焼かれるのは、何だか気分がいい。
「怒った顔も可愛いですね…」
周りに聞こえないように、そっとちなはさんにだけ囁く。
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