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ストレス発散クッキング【榎月】*02
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散々、ストレス発散に叩かれた小麦粉が冷蔵庫に入れられ、すっかり憑き物が落ちたように、明るい表情になったちなはさんと目が合う。
「出来上がるまで、もう少し待って。」
「お構いなく…」
触らぬ般若(ちなは)に祟りなし…
きいやさん…
あなた一体、何を…
「会長サマに買って貰ったお刺身で、手巻き寿司とかどう?」
「いいですね!」
私の言葉に微笑んだちなはさんが鼻歌混じりに米を研ぎ、土鍋でご飯を炊く。
手際よくお餅を細かく切り、クッキングシートに並べてレンジで加熱し始めた。
膨らみ始めたお餅を取り出し、砂糖醤油に絡めて再びレンジで乾燥させると、香ばしい香りが部屋中に広がって腹の虫が暴れ始める。
「何を作ってるんですか?美味しそうですね。」
「旨く出来たか分からないけど、味見してみる?」
レンジから取り出した物を一つ摘み、口に含むとサクッと音が鳴って、食べ慣れたあの味がした。
「これ、おかきです…」
「そう。レンジで簡単に作れるんだよ。」
お洒落な紙ナプキンの中に移し替えられたおかきを手渡される。
「おすましに入れようと思って作ったんだけど、気に入ったなら全部食べてもいいよ。」
そう言って、ちなはさんは毒気の抜かれた笑顔で笑った。
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