アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
噂の先輩【実紀】*04
-
何故だか、ボクはその人たちから目を逸らす事が出来なかった。
楓月に抱いていた『欲望』を『形』にしたものだったからかも知れない。
『それ』は鮮明にボクの脳裏に焼き付き、一気に鼓動を早めさせた。
心臓が痛いくらい激しく胸を叩く。
周りに人がいる事すら忘れ、ボクはその行為に意識を奪われ続けた。
「なぁ、実紀…」
不意に、耳元から聞こえて来た低い声に息をのむ。
「…っ!」
慌てて声のする方に顔を向けると、いつの間にか背後から覆い被さっていた楓月がボクより頭二つ分、高い体を屈めて、ボクの顔を覗き込んだ。
ち、近い…
フェンスを握る手に力がこもる。
微かに伝わる楓月の体温と鼻をくすぐるシャンプーの香りがボクの緊張を更に高めた。
「…そんなに興味があるなら、試してみる?」
耳元で囁かれ、優しく髪を撫でながらサイドの髪を耳にかけられると、背筋がぞくりと震える。
「ま、待っ…」
顎を引き寄せられ、楓月と目が合う。
その瞬間、心臓が口から飛び出しそうになった。
「…実紀の反応が面白いのは分かるが、それくらいにしといてやれよ。榎月先輩が来たぞ。」
石英の声と共に視線を倉庫裏へ戻すと、蜘蛛の子を散らすが如く、逃げて行く二人の背中が小さく見えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 489