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何か話さねばと思うのに、話題が無い。
ケティの方も何もしゃべらず、黙ったままだ。
何も映さぬ真っ黒なテレビ画面には、俺とケティの姿がうつりこんでいる。
怯えたように身を強張らせている自分を情けなく思った。
ケティはそんな俺を画面越しにじっと見つめてくる。目が合った瞬間、少し微笑んだようだった。
いたたまれなくなり、きつく目を閉じた。その風邪シロップのようなものを一気に喉へと流す。
やっとの思いで飲み干し、カップを置いた。
そろそろ帰ります――と言いかけたとき、
「……どうしたの?」
「えっ」
「不安で頭がいっぱいって感じ」
彼の白い両腕が伸びてきて、俺の黒髪に触れた。
襟足を撫でたかと思えば、首から肩へと巻きついてくる。
「なぐさめてあげる」
耳元で、彼が含み笑った。
「んっ――」
その瞬間、一気に体重をかけられ押し倒される。
「……ふ!」
拒絶は唇によって塞がれた。
抵抗しようと伸ばした手は掴まれ、強く押し付けられる。
皮のソファがミシミシと音を立てて軋んだ。
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