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「うひー。かなり痛かったんじゃないの?」
それは手首と肘の真ん中あたりにあった。
くっきりと残っている歯型。ところどころ血のにじんだ痕。
――「……ふっ、ぅんん……!」
湿った音とくぐもる自分の声が鮮明に蘇った。
昨日のことを言い当てられた気分になり、背中が一気に熱くなる。
「なんでもない」
たまらず、響の視線から逃げ出した。恥ずかしさと情けなさがこみ上げる。
彼に背を向けたところで改めて確認してみると、手の甲側だけではなく、手首側にも痕がしっかりと残っていた。
さすがにその両方を見たら、人間のものだと勘づかれてしまうだろう。
これ以上見られたくなくて、脱いだままにしていた薄手のパーカーを羽織る。
幸い、ファスナーをあげると首元も隠れた。
「あれ? でも龍広くんって動物苦手じゃなかったっけ」
「ん?」
好んで近づくことはないが、それほど嫌でもない。急に何を言い出すのだと思わず眉間にシワを寄せたとき、
「前にイヤだって言ってたじゃん」
と、言い出した。
そういえば以前、彼に猫カフェへ行こうと誘われたことがあった。
近所でも見れる動物にわざわざ金を払うなど億劫で、適当に理由をつけて断った――覚えがあるような、ないような。
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