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心の色/邪魔者(28頁)
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「もー、乱暴しちゃメッでちゅよ!」
それでもなお、俺をニコニコと見上げ、その甘ったるい口調を変えようとしない。
頭が痛くなるようだった。
重い溜息が出る。
「いいかげんにしてくれ。――兄さん」
「えっ、お兄さん!?」
状況が飲み込めず、ポカンとしていた響がやっと声を上げた。
「おおぅ。お友達がいたんでちゅか!?」
向こうの方もそこで初めて第三者の存在に気づいたらしい。呆れたものだ。
「そっかあ、お友達と仲良く遊んでたんでちゅかー」
兄さんは立ち上がるなり、目深にかぶっていたキャスケット帽を取った。白に近い金色の短髪があらわれる。
「邪魔ちてごめんなちゃいねえ」
俺たちより頭一つ背の高い兄さんは、膝に手を当てて身を屈めた。まるで子供に接するかのように。
「むふふ! にゃんとも個性的なお友達でちゅこと」
そうやって響のハートの蕁麻疹みたいな服装を上から下まで舐めるように眺めた。それから、
「どーも。たっちゅんのお兄ちゃんのエターナっていいまちゅ。よろちくねぇ」
何かを納得したように何度も頷き、響の頭をぽんぽんと撫でた。顔に浮かんでいるのはゲスい笑みで。
それを目にした瞬間、俺は何故だかどきりとしてしまう。
「えっ……、え? えた?」
一方、響は明らかに戸惑っている。あの朗らかな彼が、圧倒され、反応に困っているのだ。頬をゆがめて硬直している。
無理もないだろう。
赤ちゃん言葉。
エターナというふざけ倒した名。
それで俺の兄だというのだから、変に思わないはずがない。
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