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そんなことより。
尾津に聞けば分かるはずだ。
響の恋人は一体誰なのか。
――真実が、すぐ隣にある。
だが、その最後の障壁が厚い。
単刀直入に聞けないこともないが、今後のことを考えると踏み切れなかった。
知られてしまったら最後、こいつは俺の知りたくない情報をあらゆるところから仕入れ、オブラートにくるみもせず投げつけるに決まっている。
その攻撃に耐える自信が、正直、ない。
とりあえず、尾津が響の相手ではないことだけは確かだ。
こいつは自分から告白するタイプではない。罠をしかけ、獲物を徐々に引き寄せるようなヤツだ。
その細くて長い手脚は、蜘蛛の化身である証なのではないかと妄想してしまうほどに。
だとすると、一体、響の相手は――。
俺はまたレジに視線を向ける。
「何? 気になる娘でもいるの? ゲイなのに」
「黙れ」
「もしや……今や両刀に……?」
「バカがッ! さっさと仕事に戻れ!」
つい声が大きくなってしまった。静かな店内に俺の声がひびく。
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