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だが、それは俺も同じなのかもしれない。
明らかに年下の女子相手であるのに、優越感を抱かずにはいられなかったのだ。
――こいつが相手なら、響はきっと俺のもとに返ってくる。
根拠はないが、“そうなるに違いない”という安心感が胸いっぱいに広がっていく。
そうだ。
響のそばにいるべきなのは、こんなドジっ子じゃない。俺のようにしっかりと落ち着き、サポートできる者だ。
――きっと、戻ってくる。
ぐじぐじと悩んでばかりで、明るい感情とはしばらく無縁だった心が、ふわりと軽くなったようだった。
おつりを受け取ってすぐに「ありがとうございます」と、先回りして礼を言ってみる。
すると彼女はまた焦り、
「すみません。あっ、あ、ありがとうございました……!」
がくがくと震えすぎる手で本を差し出してくる。
その左手。
俺は、気づいた。
初めて“それ”が目に入った。
その薬指で輝く、銀色が。
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