アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
(54頁)
-
「お前、本当にいいのか? そんな関係で……」
そっと問いかけてみる。
彼は頬をかきながら困ったように、
「よく分かんないや」
と、また笑う。
ゆるやかに横に広がった口角が、そのとき、僅かに震えた。
押し寄せる苦しみがまた、彼の心を痛めつけたのだ。
「響……」
悔しかった。
悔しくて、たまらなかった。
俺だったらこんな表情、させない。
絶対に、させないのに。
「……響。……俺、は……」
悔しくて、たまらなくて。
抑えていたものが、あふれようとする。
「……俺は、お前が……」
次第に早さを増す鼓動の中、ずっとずっと秘めてきた感情が喉元まで出かかっていた。
震える。
声が震える。
「……お前、が……」
言える。
今なら言える。
俺の本当の気持ちを。
伝えて、そして――。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 387