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心の中で、俺は激しく身悶えた。
恥ずかしい。
どうにもこうにも恥ずかしい。
頭を抱え、髪をかきむしり、叫びながら地団駄を踏む妄想。
きっと、いかがわしい単語に線や印を付けられる辞書は、こんな気持ちなのだろう。
こんなの――。
生殺しにされているのと同じだ。
「あっ!」
彼がまた声をあげる。
さらに嫌な予感。ビクッとしたのも束の間、
「こっちはナニ?」
指の先には、“愛撫”の文字。
「……っぐ」
ある意味、さっきのより酷い。
及んでいる。
完全に、及んでいる。
“貞操”を破り、事に及んでるじゃないか。
「……ぁ、っい、ぶぅう……」
その声は、ほとんど泣き声みたくなってしまった。
「撫(ぶ)か!」
当然のごとく、“意味は?”と目配せしてくる。
「っ……」
ダメだ。これ以上ドギマギすると逆にあやしまれる。
「……っや、やさしくなでるって、こと、だ」
あくまで冷静に、なるべく淡白に答えた。
「そっか。“なでる”か! ありがと」
「……っ、くぅ」
さっきからなんなんだ。
冷や汗が出てしょうがない。
貞操とか愛撫とかそんな単語が出てくる作品なんて、卑猥だ。絶対に卑猥だ。
俺の隣で響がそんな卑猥小説を読んでいる、なんて。
――我慢、できない。
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