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遡る日/ふたり(81頁)
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自習時間は午前中で終わる。
平日の昼に街を歩ける解放感につられ、二人でいろいろな話をした。
――と、いうかほとんど響が一方的に話をしていた。
どうでもいいことから、本当にどうでもいいことまで。
俺から切り出した話題は、一つだけだった。
「修学旅行、行かなくて後悔していないか?」
響は最初、参加する気満々だった。それなのに急に意志を変えたのである。
もしかしたら俺のせいで彼は諦めたのではないかと、密かに気になっていたのだ。
「全然ッ!」
俺の気持ちに反して、キッパリと言い切ってくれた。
「だってさぁ、龍広くんがいないとボクどこにも行けないもん。一週間もそれが続くんだよ? 退屈じゃん!」
だが、響が入るはずだった班の中には、彼のことが気になっているらしき女子もいた。
俺が見るに、かなりの物好き女。
彼女はきっと旅行期間に響と仲良くなろうと計画していたはず。
響さえその気なら、旅行を通していい感じになれただろうに。
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