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(84頁) ▼嘔吐有り
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しばらくは服を着ることもできず、床にへたりこみ、逆らうことのできぬ嘔吐感に耐えるしかなかった。
嗚咽をあげる度、胃が引き攣るように痛み、だらだらと唾液が流れ落ちていく。
「はっ……ぐ、……っ……」
頭の中では、昨日のことを繰り返し思い出していた。
覚えていたくなんてないのに。
なにもかも消し去ってしまいたいのに。
嘘だと思いたいのに。
それなのに、体にはまだあの激しさが生々しく残っている。
手首を縛られた傷。
強く掴まれたときの爪痕。
散りばめられた小さな赤アザ。
後ろを犯された余韻。
何度も果ててしまった罪悪感。
それから、
――「……ひ、びきっ……」
心の中の彼を汚してしまった痛み。
「くっ……」
死にたい、という思いが淡く頭をよぎった。
だが、慌ててその考えを打ち消す。
俺が突然いなくなったら、彼はきっと悲しむ。その心が暗く沈み込むことだろう。
泣かせたくない。
俺の身勝手な衝動で、あの光を濁らせたくない。
「――っぐ、ぅう、っ!」
口元と頬の涙を乱暴に拭い、壁に手をつきながら立ち上がる。
再び胃液が込み上げたが、押し戻した。
全身がミシミシと痛んだが、もう、どうでもよかった。
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