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「……お、お前は……」
乾いた唇を引きつらせ、胸の内の言葉を外へ放っていく。
――この数週間、ずっと言ってやりたかったこと。
「……お前は、……あのと、き……っ、俺が、いればいい、って……言って……くれた……」
――何度も心の中で叫んでいたこと。
だが、いざ、口にしてみると酷く震えた。うまく言葉になっているのかどうか、自分ではよく分からない。
「……なっ、なのに、……お前は、……俺から……、遠ざかって、く……」
「何言ってるの。そんなつもりないよ。ずっとたっくんの――」
「……嘘、だ」
分かっている。いつもの甘い言葉の一つだろう。
「そうやって……、いつも、お前は、俺を――」
これ以上、惑わされてたまるものか。
もう二度と、俺は――。
「嘘じゃないってばッ!」
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