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譲と潤の問答 1「瑶と譲と潤」
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「血まみれの潤の血を洗ったのは、二回とも譲さんだったんですね?」
僕は口を挟んだ。
「え? 違うだろう? 今回は、瑤君に頼んだ……あっ、そうか、礼拝堂で、麻布で血を拭ったのは俺だ!」
「運命を感じますね」
「運命……そうだね。呪われた運命だね。ぐるぐると同じ所を回っていて出られない、大洗家の血の運命だね」
「しかも当主の血を浴びてるんですね」
「え? ああ、そうだね。あの時は竹秋伯父、今は、父の血」
と言って、譲はギョッとしたように潤を見た。
「そして次は、俺の番?」
おじ様の長男である譲が恐怖して言うと、潤が、ほくそ笑んで応えた。
「その前に、倫子さんにお産の血を流させるのも俺だよ。刺した凶器はナイフじゃなくて俺のペニスってわけか」
「潤!」
「ふふふ。その時も、譲が血を拭ってくれるのかな。生まれたての俺の子を抱いて血まみれになった俺を」
「潤、冗談も程々にしろよ。俺は、その話は聞きたくないんだ」
「それとも、その時、血を拭ってくれる役は叔父様かな?」
「潤の子って、叔父様が育ててくれるんでしょ? だったら尻拭いって意味なら叔父様だね」
「違う、俺は跡取りだから、次に潤は、俺を刺すんだろうって言いたかったんだ」
「譲が跡取りなの? 譲は次男の長男だから傍系だろ? 俺は、長男の長男だから、俺が正統だよ。しかも、俺が倫子さんの夫になれば、財産の半分は俺、残りは俺の子と譲と昴で三等分」
「はあ? 潤が夫になる? 養子が養母の夫になれるわけないだろう? バカも休み休み言えよ」
「俺、養子になってないもん。瑤に聞かれて気づいたんだけど、戸籍謄本もらった時、コピーしてあったの確認したら、俺、養子じゃなかった」
「だからなんなんだよ」
「だから、倫子さんと結婚できるってこと」
「できないだろ、叔母と甥だから」
「いや、倫子さんと俺は、血が繋がっていない、他人だもん」
「そもそも、お前、なんで叔母様って言わないんだよ、倫子さんとか名前で呼びやがって、馴れ馴れしくすんな」
「馴れ馴れしくするなって言われても、すでに馴れ馴れしくしてるのに、叔母様とか呼ぶほうが不道徳だよ」
「そんな昔から馴れ馴れしくしてたのかよ」
「さすがに、昔から直接そういうことがあったわけじゃないよ。でも、倫子さんと母は、恋人どうしだったし、叔父様の配偶者だし、父も倫子さんが昔、好きだったらしいから、俺にとっては唯一の女性で女神みたいなものだから、彼女は寡婦になったら当然俺が夫になるべきだと思う」
「はあ? バカじゃねえの、こいつ。お前の頭がとち狂ってることは、前から知ってたが、そこまでいかれてるとは思わなかったぜ。どこからどう持っていってどういう論理でそういう結論になるのか言えよ。さすがお前、数学できない頭だな。証明問題解けないだろ」
「だって、倫子さんは、千代子の息子である俺を愛してるし、だいたい叔父様夫婦は仮面夫婦なんだから」
「仮面夫婦? 二人も子どもがいるんだからそれはないね。それに、お前を愛してるとかなんとか、そりゃ他人なんだから、そういう理由でもないと、お前の世話をする張り合いもないから、そう言ってるだけだろ。それを恋愛みたいに勘違いするお前がおかしい。思春期だから、恋愛に憧れてそういうイタイ発想になるのかもしれないが、成人した俺からみたら恥ずかしくて聞いてられないぜ」
「聞いてられないなら聞かなくていいよ。譲は関係ないからね。俺と倫子さんの問題だし」
「はあ? 何恋人ぶってんだよ。お前も明日、病院連れてってやろうか? お前なんか精神科にぶち込んでやる。お前なんか、叔父を刃物で刺した凶暴で危険な少年なんだから、ぶち込まれて当然なんだよ」
「ぶち込むとか刑務所じゃないんだから」
「怒ってんだよ、今俺は。誰がかばってやったと思ってんだよ、昔も今も。お前の血を拭ってきれいにしてやったのは俺なんだぜ? でなければ、お前なんて、とっくに警察のやっかいになって少年院かどこか矯正施設に入れられて」
「へえ、矯正施設の職員や少年たちに輪姦されるのを防いでくれて、どうもありがとう。変な精神科で職員からレイプされなくてすんでありがとう、って言えばいい?」
「そうだよ。お前なんて、どこにいったって、そういう目にあうんだからな」
「へえ、すごい運命に生まれついたもんだね。この家にいる方が、よほど毎日されまくってる気がするけど」
「お前がして欲しいって言うからしてやってるんだろ? さっきだって、ここに欲しいとかなんとか」
「んっ、ちょっと。もう乾いてて痛いよ。今、そんな気分じゃないし」
「お願いだから、変なこと言うな」
「わかった。倫子さんと二人の時に直接言う」
「息子の俺にだって、母の再婚に口出しする権利あるからな。二人きりになんてさせない」
「いいよ、譲がいても。聞きたくないって言ったからなだけだから」
「なあ、俺が、お前をどんだけ愛してるか知らないだろう?」
「何言ってんの? 譲は、隼人さんと付き合うんでしょ?」
「潤と付き合ったっていいんだよ」
「付き合ったっていいも何も、毎週やり放題されてるんだけど」
「お前だって俺に対してそうだろう? それで、人の父も母もとるとか鬼畜かお前?」
「譲だって、叔父様としちゃったじゃない」
「それは……もうしない」
「俺が留守の平日に、地下室でしたんでしょ?」
「それは、無理やりされたんだ。思い出したくないんだから言うな」
「じゃあ、コウさんから手をひいてよ」
「なんでそうやって俺のものばかり欲しがるんだよ。俺のものというか、人のものだな」
「譲だってそうじゃないか。コウさんだって、俺だって、隼人さんだって人のものだ」
「隼人は、昔も今も恋人はいないよ」
「でも友達のお兄さんだったから、友達から兄を奪うみたいな」
「いや、友達はブラコンじゃないから」
「でも譲の中では、そうなんだろ?」
「違うよ。考えたこともない」
「叔父様の呪いで、兄を慕うよう運命づけられている」
「別に隼人は俺の兄じゃない。人の兄だ」
「違うよ、俺のこと」
潤が言った。
「は?」
譲が一瞬黙った。
「兄を慕うって」
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