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素直じゃなかった?
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「その人たち、停学処分で自宅謹慎一週間だったよ」
昴の弟、潤が言った。
「ぬるいだろ、そんなの! そんな程度ですむなんて! 退学させろよ! そいつら潤に謝ったか?」
昴が尋ねた。
「謝らせようかと先生に言われたけど、俺が顔も見たくないって言ったから」
「それだって、謝れよって思うわ!」
昴が憤った。
「いいよ、本当に怖いから会いたくないもん」
「でも、会ったんだろう? 大学生になった奴らの一人と」
昴が問うと、潤が驚いたように尋ね返した。
「えっ、何で知ってるの?」
「知ってるよ。俺、お前をやった奴らのこと調べてんだよ。全員知ってる」
昴が言った。
「それで、藤木さんのことも」
「そう顔写真で知ってたし、話してて、潤を付け回してる奴だって確信したから報復してやった。でも高校生だか大学生だかは忘れてた。急に来られたから、こっちも慌ててたし」
潤は、残念そうに言った。
「詰めが甘いな兄さん。藤木さんは、味方だったんだよ」
「それ早く言えよ! お前が嫌そうに逃げ回っているからてっきり」
言いかけた昴をさえぎって、昴の弟、潤は尋ねた。
「そんなのどこで見てたの? 探偵でも雇ったの?」
「人になんか、まかせられるもんか。自分で見張ってたさ」
昴は力を込めて言った。
「すごいね、探偵の素質あるんじゃない? 全然気づかなかった。確かに逃げ回ってたよ。心配されるのが、うざくて」
「心配される? あの、土曜の夜にここに来た、フジキって男に、潤が、心配されてた?」
「そうだよ」
「え? 潤は、あいつに心配してもらってたのか?」
「うん」
「なのに逃げ回ってた?」
「うん、そうなんだ」
「はあ? 何なんだよそれ!」
「混乱させて、ごめんね、昴兄さん」
潤は、困った顔をした。
「つくづく素直じゃないな、お前」
昴は、あきれかえったように言った。
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