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瑶と潤「火曜日の学校」2
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「あ、おじ様とおば様の体調のことがあるもんね。でも、いつでもいいよ。遊びにきて? いっしょに勉強したり、話ししたりしよう?」
瑤の言葉を、潤は、疑わしそうな、不思議そうな顔をして聞いていた。
瑤は、なぜ、潤が、そんな顔をするのかわからなかった。
そういう友達づきあいに慣れていないのかな? と瑤は思った。
放課後、瑶は、喜びいさんで、潤のところに駆け寄った。
「いっしょに帰ろう」
「今日、病院に見舞いに行くんだ」
潤は、思いつめたような表情だった。
「ああ、昨日、行けなくなったんだもんね」
瑤は、潤が、自分と同じように喜んでいないことにがっかりした。
「うん、譲兄さんのせいで」
でもしかたがないか、と思った。
「今日は、お迎えくるの?」
「ううん。いったん家に帰って、家に迎えにきてもらう予定。俺、しょっちゅう校門に車横づけで送り迎えしてもらってるからさ」
「潤は、しょうがないよ。だって、具合が悪いときとかあるんだもの。眠れなかったりするんでしょ?」
「まあそうだけど、昨日も目立っちゃったみたいだし」
「ああ、僕と潤が、いっしょにきたことばれてたね」
潤は、人目を気にしたらしかった。
「そういうわけで」
「でも、いっしょに帰れるんでしょ? いっしょに帰ろう?」
「うんいいけど。でも、今日、あまり話したくない気分なんだ」
「いいよ。黙ってる」
「ならいいけど。人と話すような気分じゃないんだ」
潤は、深刻な顔をしていた。
瑶は、心配しながらも、どうしようもないので、ただ潤と黙って歩いた。
「俺さ、今日、告白しようと思っているんだ」
ふいに潤がそう言った。
「告白って、誰かに好きって言うってこと?」
「うん」
「え? 僕に?」
瑶は、ドキドキした。
「瑶に? 違うよ」
瑤は、潤に否定されて、がっかりした。
やっぱり潤は、自分のことを特別好きなわけじゃないのかもしれない。
「じゃあ、誰に?」
思い浮かぶ人がたくさんいすぎた。
「ううん、なんでもない。やっぱり、いいや」
「え、そうなの? 秘密?」
やっぱり、僕はただの友達ってことかな、と瑤は寂しく思った。
少しだけ、潤が、その人にふられたらいいのに、と思ってしまった。
ごめんね、潤。
だって、僕、潤のこと好きなんだもん。
潤は、ずっと、うかない顔をしていた。
「あのさ、僕は、潤のこと、好きだからね?」
別れぎわに、瑤は、潤に伝えた。
「うん」
「あの、僕、あんまり、こういうこと言わない方なんだ」
「ごめん」
潤は、悲しそうな顔をした。
潤は、瑤に背を向けた。
「さよなら」
瑤は、かけだして去っていく潤の後ろ姿をぼう然と見送った。
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