アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【六章】潤と譲と倫子「見舞い」
-
潤は、倫子の病室で譲に腕をつかまれていた。
潤は、譲の腕を振りほどいて言った。
「俺は倫子さんのことを母だと思ったことは一度もない。俺の母は一人だけだから」
倫子は絶望的な顔をした。
「おい、潤、なんてこと言うんだ。口をつつしめ」
譲が叱るように言った。
潤は、かまわず続けた。
「俺は、倫子さんのことを叔母だと思ったこともない。実際、叔母様と呼んだこともない」
「ちょっと、潤、何が言いたいんだ? お袋を傷つけるようなことを言うと、俺が許さないぞ」
譲が制止するように潤の腕をぐっとつかんだ。
「事実だから仕方ない」
潤は言った。
「叔父様は叔父様だけど。叔父様は、ごまかしてはいるが実は限りなくゲイに近いことは、俺はよく知っているし、だから、配偶者といっても」
「おい、潤、いいかげん自分の希望的観測でデタラメを言うのはよせ。冒涜だ。俺は聞きたくない」
「聞きたくないなら席を外してよ。俺は、今、言っておきたいんだから」
「危ないお前と二人きりにさせてなるもんか」
譲は、潤が叔父をナイフで刺したことを言っていると潤は思った。
「まあ、確かに危ないかもしれないね。俺は男だから」
潤は、譲にすら対抗意識を燃やして言った。
譲が、耐えかねるといった風に、声を低くしてすごんだ。
「お前、ちょっと表へ出ろよ、一発殴られないと黙れないのかよ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
138 / 252