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潤と譲と夏目
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譲が夏目にいやみっぽく言った。
「隼人も、きっと、なかなかハードな因習深き日常を送っているんじゃない? あんなところで、あんなことするほど、ストレスたまってるわけでしょ?」
「あんなことって……」
夏目は、恥ずかしそうに目を伏せ、頬を赤らめた。
「誰のせいだよ、大変なことになってるの」
潤が、うすら笑いを浮かべて、まぜっかえした。
「うっせ」
譲が潤を、黙れというように、にらんだ。
「譲のせいではないよ。少しは、関係あるかもしれないけど」
夏目は、気を取り直したように答えた。
「だよね? だって、俺と再会する前から、あんなこと、してたんだもんね?」
譲兄が、あんなことと、言うのは、夏目が、病院の倉庫の小部屋で休憩時間中、自慰にふけっていたことをさしているようだった。
「だけど、僕は、ずっと、譲のこと考えてたんだよ?」
夏目は、一途そうに訴えた。
「だから、小部屋でエロ行為に走ったのも、みんな俺のせいって言いたいの?」
譲は、ニヤついた。
「違うよ。なのに、譲は、弟とエッチなことをしてただなんて」
夏目が、すねたように訴えると、譲は、
「あれ? 隼人、もしかして、妬いてるの?」
と気をよくしたようだった。
「うん」
夏目は、真面目そうに、うなずいた。
譲は、あわてて言いつくろった。
「えっと、俺も、隼人と会えなくなってしまったから、潤に走ってただけかもしれないんだよね。それまでの習慣ってのもあるし」
潤は、心で舌打ちした。まったく調子いいよなぁ。むちゃくちゃ俺に夢中で、俺のこと好きだって言って抱いてたくせに。
「譲って、そんな、適当な男だったんだ?」
夏目も、軽蔑したように言った。
ざまあみろ。潤は思った。
すると譲が言った。
「違う。隼人に会えなくなってから、俺、潤とほんとに将来いっしょになれないかなって、真面目に考えるようになってたんだ」
譲が、考え深そうに言った。
「えっ、そうなんだ? そうだったんだ。そんな風に? え、なに、それじゃあ、僕は、君たちの当て馬だったってわけ?」
夏目が動揺したように尋ねた。
「それは違う」
譲は、あわてて、誤解を正そうとした。
そこで、
「あて馬の潤です」
と潤が言うと、
「正解」
と譲が答えた。
もう、兄さん、支離滅裂だよ。
と潤は、はらはらした。
俺も、支離滅裂だけどさ、と潤は思った。
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