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潤と夏目と譲「潤君に優しくしたい」
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潤たちは、バスルームに移動した。
最後はぬるぬるになって、バスタブで抱き合った。体液で合わせた肌がつるつるすべった。譲が空の浴槽にいる二人に体液をかけてきたので、二人の身体は一層ぬめっていた。
潤は、夏目の裸の胸に抱かれて息をついた。精を吐き出して冷静になってみると、あらためて自分たちは何をやってるんだろうと我ながらあきれた。
「ごめんなさい。潤のわがままで」
夏目がこんな馬鹿げた変なことをしているのは、一重に自分のせいだと潤は思った。
兄と自分が変なことになっているのは、一蓮托生で、もう運命で仕方ないことのように思えたが、全く関係ない夏目を巻き込んでいることが潤には申し訳なく思えたのだ。
夏目は、まともで真面目な人間なのだ。ただ潤にひどく同情してくれていて優しいから、こんなことに巻き込まれているのだ。それに譲のことを愛しているので、譲の愛する弟まで気づかって大事にする気持ちが発端だったのかもしれない。それなのに自分は、そんな夏目を誘惑して、でも、どうしようもなかったんだ。潤はぐるぐる考えた。
「ううん。僕が悪いんだ。ほんとは、こんなことしちゃいけないのに」
夏目は潤の目の前で潤をかばってくれた。
「はいはい、わかったら子どもは、お帰り」
譲もまた素面に戻って、さっさと事を終わらせたいように言った。譲はシャワーを使いだした。
「そんな追い返すことないじゃない。いたいだけ、いていいんだよ」
夏目は潤を気遣うように言った。
「甘いなあ、隼人は。こいつつけあがるぜ? いつかれたら、どうするんだよ」
譲は平素は潤といるのをあまり好まないこともあった。たぶん潤が子どもなので、いろいろ配慮するのが面倒なのだろう。それは昔からそうだった。唯一、性的な行為でだけは潤と遊んでくれたので、潤は積極的に行為をねだるようになったのだ。
考えてみると、全ての人に性的行為をねだる癖も、それが元になっている気がした。
もちろん兄だけではなく、叔父様もなのだけれど。
「それはそれで考えるさ。つけあがるなんて、言葉悪いなあ。そんなことないよね?」
夏目は譲より大人なのに潤を邪魔にしないでいてもいいと言ってくれるのだ。
「いてもいいの?」
潤は疑っていた。他人だから気づかってくれているだけで、本当は嫌なんだろうなと思った。
「うん、もちろんだよ。いっしょにごはん食べよう」
でも夏目の表情からは潤を邪魔に思う感じは微塵も読みとれなかった。それで潤は少し安心した。
「うん、お腹すいた」
安心したら空腹に気づいたのだ。
「パスタ茹でてあげるよ。その前にシャワー浴びなくちゃね」
夏目は潤の手をとって空のバスタブの中で立ち上がった。
「潤に手伝わせろよ。こいつ何もしないんだぜ?」
譲はシャワーを浴び終わってバスルームから出てバスタオルで身体を拭きながら夏目に言った。
「何もしてなさそうな手だもんね。いいよ。潤君は、休んでて。でも、いっしょにお手伝いしたかったらしていいよ」
夏目は潤の手を見て言った。
「うん、する。兄さんは、邪魔だっていって、手伝わせてくれないんだよ」
潤は甘えて夏目に訴えた。
「だって邪魔だよ。お前、トロいし。もたもたして狭いキッチンでうろつかれると、邪魔」
譲は、夏目の部屋に着替えを置いてあるらしく、洗濯した服に着替えながら言った。
「まあ、料理うまい譲からしたら、そうかもしれないけど。僕は上手くないから平気。レタスでもちぎって」
夏目は潤といっしょにシャワーを浴びながら言った。
「そうそう。せいぜい出来るといったら、それくらいだな。こいつ、この年になって包丁も使えないんだぜ。甘やかされすぎだよな」
譲が髪を拭きながら言った。
「使えるよ。兄さんが危ないって言って使わせてくれないんじゃないか」
潤は言い返した。
「だってお前の切り方見てると手を切りそうでハラハラするんだよ」
「じゃあ、胡瓜や人参もスティックに切ってもらおうかな」
「いいよ」
潤は勇んで答えた。
「尻に突っ込むなよ」
譲が、まぜっかえした。
「え?」
夏目が聞き返した。
「そんなことしないよっ」
潤は怒って兄に言い返した。
「潤ってさぁ、野菜を尻に突っ込んで喘ぐんだぜ。食べ物で遊ぶなよな」
譲は、からかうように言った。
「え……」
夏目は赤面した。
「なに? 隼人もしたくなった?」
「ならないよ……そんなことするの?」
「しないよ……」
潤は否定した。夏目にそんなことを言わなくてもいいのに!
「したことあるくせに」
譲は、しつこかった。
「今は、しないもん」
潤は恥ずかしかった。叔父様と夏の別荘で、そんなことをしていた時もあったのだ。
「もうやだ、さっきから兄さん意地悪ばっかり言うから」
潤はふくれた。
「だよねぇ。譲、弟いじめるの、やめなよ」
夏目が同情してくれた。
「事実を言ってるだけだよ、俺は。隼人が、潤の実態を知らずに、騙されてるのを見るにしのびないからさ」
譲は髪を拭き終わり洗濯物を洗濯機に入れながら言った。
「ご配慮ありがとうございます。でも、僕は自分の観察と付き合いから潤君を判断するから。譲のバイアスのかかった見解は、いらないよ」
「棘があるなあ。言い方に悪意あるよ、隼人。俺、そんなに悪者?」
譲は、少し凹んだようだった。
「僕は潤君に優しく接したいだけだよ。譲は兄弟だから、また別の見方や事情があるんだろうけど」
夏目は潤の髪を洗いながら言った。
「そうだよ」
潤は夏目に身体や髪を洗ってもらう心地よさに、うっとりしていた。夏目の声が子守唄か何かのように聞こえた。シャワーの音が雨音のようで潤の心を落ち着かせた。
「譲が個人的に判断するのに異議はとなえないけど、僕にアドバイスは不要です。僕は僕で潤君を判断するから」
夏目が、そう宣言するのを潤は、ぼんやりながらも頼もしく聞いていた。
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