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the same
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非常階段の中は外よりも暗い。赤司や紫原みたいにちょっと目のいいやつならぎりぎり見えたとしても、黒子とかは見えなさそうだ。
それでも完全な暗闇じゃない。電気も使えないし外の光すらない場所が見えるわけないのに、だ。
どうなってんのか。それはきっと、ここに化け物がいる理由とおんなじで俺らには理解しきれない。
ま、気にしたら負けって感じか!ww
「…青峰。」
しゃがんだまま顔もあげない青峰に合わせて俺もしゃがむ。
「“帰らない”じゃなくて、なんで“帰れない”なんだ?」
帰らないってのは自分の意思で、帰れないってのは他の力が作用してる時に使うもんだ。
「少なくとも、ホールにいたやつらは全員お前を心配してるぞ。桃井さんとか…黒子とか。」
ホールで顔を真っ青にしていた二人を挙げる。黒子の名前を呼んだ時、青峰の肩がぴくりと揺れた。
「……多分、俺なんだ。」
え、何が??w
その言葉を抑えて、言葉の続きを待った。
「こんな所にあいつらを連れてきたのは、俺なんだ。」
言葉が出なくて、ついでに表情もフリーズした。
「…1回だけ、俺らキセキがテツを本気で傷つけたことがあんだよ。」
キセキの世代。赤司を筆頭に紫原、緑間、青峰、黄瀬。この五人をキセキの世代と呼んだ。計り知れないバスケの才能を持った五人。それと一緒に幻の六人目と呼ばれたのが、黒子らしい。
「俺たちが才能を開花させた頃だ。俺ら一人一人がとんでもなく強くなっちまって、敵がいなくなった。俺らが本気で戦えば、おかしいくらいに点差が開く。相手のチームは戦意喪失して…あん時のバスケは面白くなかった。チームプレーなんてもんも必要なくなって、誰もテツを見なくなった。」
黒子は影が薄い。それを活用してパスを繋いでいた。
でも、キセキの才能が開花してから、それは無意味になった。
「効率が悪い。俺ら一人でも勝てるのに、なんでわざわざパスを通すのか。…赤司に言わせれば、こうらしい。俺も一緒だった。」
同じようにしゃがんでいても、顔を伏せてる青峰の表情はわからない。
「…黒子が怒りそうな言葉だな。」
黒子のことを想像したらそんなことを言っていた。
ただでさえ体力がなさそうなのに、キセキなんていうやつらと練習して、試合に出れるように頑張るなんて、普通の努力じゃ無理だ。
それでも黒子はやっていた。それはきっと、あのまっすぐで純粋な意思と、こいつらキセキとやるバスケが楽しかったからだろう。
青峰が、初めて顔を上げた。
泣きそうで、でも嬉しそうな、そんな笑顔。
「ああ、怒った。思いっきり殴られたのは、後にも先にもあれが最後だ。」
ビックリしすぎて青峰をガン見した。あの黒子が、殴る?
「俺だけじゃねえ。全員殴られた。」
嘘だろ!!w
『効率って何ですか!そんなことを考えて、相手に誠意もないんですか!?』
『そんなバスケ楽しいんですか?いいえ、楽しくない!今の君たちは、全然楽しそうじゃない!!』
『いくら相手より強いからって相手を貶めるようなもの、バスケじゃありません!もしそれを否定するなら、僕は君たちに失望します。』
『君たちはバスケプレイヤーなんかじゃありません!』
「…殴られたことより、そっちの方がキたぜ。泣きながら怒鳴るテツを見て、俺たちはようやく目が覚めた。そっからまたバスケが楽しくなった。テツを入れて六人、これが俺たちのチームだった。」
聞いてるだけでジーンときた。そうだよな、楽しくないバスケなんてただの作業だ。
「でも、それが何で青峰のせいってのに繋がるんだ?」
少し明るくなった青峰の表情がまた曇る。
「テツに怒られて目が覚めた時には、もうそれぞれの進学先が決まってた。バスケの推薦だったから全員が違うところに進学して、バラバラになった。もう一度全員でバスケができた時間は少なかったんだ。」
赤司や紫原は特に遠いらしい。俺だって、京都は修学旅行とかじゃないと行かないしな。
「高校に入ってしばらくして、できるだけ近いやつらだけでいいから集まろうぜって話になって、赤司と紫原以外で集まったんだ。久しぶりにテツに会って他のやつにも会って…後悔した。俺らしくねえけど、やり直してぇって思ったんだ。」
「そりゃあ誰だって思うだろ、青峰のせいじゃ…」
「時間なんて止まれって思った。全員が一緒で、そのままずっと楽しい時間で止まればいいって思ったんだ。そう思いながらあいつらと別れて家に帰ってる時、ガキにあった。」
ガキ?子供?
「ベージュみたいな髪の、女のガキだ。願い事があるの?私もあるなんて意味わかんねえこと言って、無くし物をしたっつって、一緒に探してくれって頼まれた。」
ベージュの髪の女の子?無くし物を探してくれ?
ひやっと背中が冷たくなった。
「まっすぐ家に帰るなんて気分じゃなかったし、めんどくせーけど探してやるかと思っていいぞって言った。そしたらありがとうだけ言っていなくなったんだ。なんだあのガキとか思ったけど、どーでもよくなったから忘れてたんだ。」
箱を探してる、と。見つけたらきっとお兄ちゃんの願いも叶うよ、と。
そんなことを言われていたらしい。
「あのガキが探してた箱ってのはお前が探してるもんと一緒だろ。そしたら、探してやるって言った俺が他の奴らを巻き込んだんだ。」
全員一緒に時が止まればいいという俺の思いと共に。
確かに、これは否定できない。何も知らなかったんだ、じゃ済まされない可能性だってある。
ただ、こいつの気持ちは本物だ。
わざと明るい声を出しながら立ち上がる。こっからは通常通り高尾ワールド全開だぜ!w
「じゃあ、さ。正直に言って謝って、その代わりにさっさとこんな所脱出するっきゃないっしょ!w」
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