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the same
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は?というように顔を上げた青峰の顔はあまりにもアホ峰だった。
「だってそうだろ?やっちまったことはもうどうにもなんねえけど、それを認めて対策を考えることはできる。アホ峰にはそれを支える仲間だっているじゃねえか。」
「おいテメー今アホ峰っつったろ?あ"?」
「ごめwwwwでもw不可抗力www」
せっかくかっこいいセリフ言ったのにパァだww
「ぜってー忘れねえからな。帰ったらぶっ殺す。」
俺、終了のお知らせwwwww
って、帰ったら?
聞き間違いかと思って青峰の顔を見ようと思ったら急に立ち上がってそっぽを向かれた。落ち着かないのかバットをブンブン回して。
ツンデレ予備軍を発見した。
また笑いがこみ上げてきたけど笑ったらブンブンいってる凶器で殺される。
頑張って内側に秘めようと思った俺である。
「うっし!そんじゃあさっさと帰ろうぜ!」
先に階段を降り始めた青峰の背中を勢いよく叩いて階段を一階まで降りる。
後ろからてめぇ、と怖そうな声が聞こえたけどツンデレ予備軍だと知ってしまった今は怖くない。
あいつらなら青峰が本当のことを話しても受け入れてくれるだろう。いなくなった青峰をあそこまで心配できるやつらなんだからな。
ま、多少の小言は付いてくるだろうけどなw
…正直、悔しいけど羨ましいぜ。
俺たちも、中三までずっと一緒にバスケができていたら、こういう関係になれたかもな。
『この状況下で人を信用し過ぎるとかなり危険だと思う。命が危険にさらされるこの状況で、今まで通りみんな仲良しってのも難しいかもしれねえし。』
いつか黒子と紫原に言った言葉が浮かんでくる。
少しばかりの経験談を織り交ぜた言葉は無事杞憂に終わりそうだ。
…でも、俺たちにだって絆がなかったわけじゃないんだ。
自分がつけた傷を真っ先に心配してくれた瞬みたいに、全員本当はいいやつばかりで。
だからこそ、いっぱいいっぱいになっちまった。
そう行くと俺はいいやつじゃねえなwww
………ま、いいやつじゃねえもんな。
「おい、高尾?」
いつの間にか一階についていたようで、なかなかドアを開けない俺に不思議そうな声が飛んでくる。
慌てて妄想を止めて笑顔を作った。
「はいはーいっと。んじゃ、開けるぜ。」
一応鷹の目で外の気配を探ってからゆっくりとドアを開けた。
非常階段ってのは使い勝手がいいけど開ける時に音が鳴るのが痛いよなー。
だが幸いにも化け物はいないようで、ささっと出てまたゆっくりとドアを閉めた。
「あの化け物、俺たちを追って上に上がったり下に降りたりしても用が済んだら自分のいた階に戻るんだ。だから気をつけろよ。」
帰巣本能とでも言うべきか、人間だった時に死んだ階で死体は化け物になり、化け物はそこをうろつく。
気を引き締めて、ホールまでの道を歩いた。
でもまあ、まだ俺たちを上の階で探しているのか化け物は見当たらなく、無事俺たちはホールにたどり着いた。
ぎゅ、とバットを強く握る音が聞こえて振り向けば、なんか難しいことでも考えているような顔の青峰がいた。
「心配すんなって。あいつらが許してくれないはずないって俺より知ってんだろ?万が一そういうことがあったら、俺と一緒に二人で気長に探索でもしてようや。」
「…ああ。」
その返答に頷いて、俺はホールのドアを開けた。
──後ろで、青峰は顔をしかめていた。
ホールは明かりがついてるようで、僅かながら光が漏れている。それは真っ暗なこちら側からしたらかなり明るい。
……お前、大丈夫なのかよ。
そう言おうとした。けれど、それを言ったら目の前のこの男が消えてしまいそうで、結局その言葉はしぼんで消える。
代わりというようにバットを握りしめると、何かを察したのか高尾が振り向いて心配すんなと声をかけてきた。
こいつは人に鋭いくせに自分に鈍感だ。
捻り出した声でああと答えると、満足そうに頷いてからドアを開けた。
それに、俺はますます顔をしかめる。
……高尾。
俺の気のせいであればいい。でもどうして、こんなにも胸がざわつく。
お前、体透けてんじゃねえか。
結局伝えることも出来ず、気がつけば高尾の体はもう透けてなどいなかった。
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