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赤司side
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「……みんな、ちょっと集まってくれ。」
二回目の探索の後、高尾が小部屋に行ったのを確認してから全員を呼んだ。タイミングから察したのか、不思議そうな顔をしながらも素直に集まって円の形になる。
「一つ、言っておきたいことがある。高尾和成には気をつけろ。警戒を解くな。」
僕の発言に最も顔をしかめたのは涼太とテツヤだった。
「何故ですか?」
テツヤの質問に小さく頷く。そして、前を見据えて口を開いた。
「奴は味方ではないかもしれないからだ。」
それに反発しようとしたテツヤを目で制し、発言を続ける。
「理由はいくつかある。一つは、銃の扱いに慣れていることだ。アイツは何の抵抗もなく撃ち放った。普通なら反動で少しはよろけるはずだが、それもなかった。」
しかも、片手でだ。余程撃ち慣れていない限りそんな芸当はできない。
「外国とかに行ったりしたことがあるなら納得できるんじゃないっスか?」
黄瀬の発言に頷く。
「それは僕も思った。だからその時は何も言わなかった。二つ目は、落ち着きすぎているところだ。僕や真太郎でさえ少なからず動揺と混乱をしているのにも関わらず、アイツはそんな素振りが欠片もない。隠しているとしたら、隠すのがかなりうまいことになる。」
さらに、それは探索に出ている時も一切変わらなかった。
「三つ目。それは、二回目の探索の時の判断が危険すぎることだ。テツヤ、お前はもし化け物が襲ってきた時、一人囮になることを選ぶか?」
言葉に詰まるテツヤを見ながら僕の中の考えは確信に変わった。
「そう。無理だ。その考えが浮かぶことすら普通ならありえない。万が一浮かんだとしても、それを選択することはまず無い。なぜなら、それは死に行くようなものだからだ。」
「そういえば……」
ずっと口を閉ざしていた氷室が口を開いた。
「高尾君はさっき、〝咄嗟に口から出たんだ〟って言っていたけど、実際は化け物が動く前から〝合図したら逃げろ〟て言っていた。」
初耳だったが、割とすんなり受け入れることができた。
「何故嘘をつく必要があった?バレたらマズイことでもあったか?いや、嘘をついているという実感すらなかったのかもしれない。それは、それほど嘘をつき過ぎているからかもしれない。」
言い終えても、口を開く者はいなかった。それを見て、僕の確信はさらに完全なものになっていく。おそらく、僕以外の皆も同じ考えになっただろう。
「アイツは此処に慣れすぎている。いいか、くれぐれも気を許すな。警戒しろ。そして、何かあったらすぐに僕に知らせてくれ。」
全員が、重々しく頷いた。
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