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the same
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ホールの探索はとてつもなく順調だった。
ここまでは。
もうすぐ、エスカレーターに着く。
そしてそこには、
そこには。
やっぱり、化け物になった瞬がいた。
そして、その瞬間俺は思い知らされた。
俺はなんて馬鹿なんだろう、と。
俺はなんで言わなかった?
『俺はこれから起こることを知っている』と。
言わなくても変えられる?
俺だけで何とかできる?
……馬鹿じゃねえか。
そりゃあ俺一人でやってもいつかは終わらせることができるかもしんねえ。
でもそれって、「いつ」だよ?
それまで繰り返さなきゃいけないのか?
それまで何回も瞬やあいつらは苦しみ続けるのか?
あいつらにとっては一回だけだったとしても、俺は何回も繰り返すんだろう?
あいつらが覚えてないからって、何回もあいつらを殺すのか?
大切な仲間を?
俺は俺が出来る最善の手を尽くすんじゃなくて、俺が一番望んだ方法を使うのか?
あいつらが苦しむ時間が増えても?
そんなの、
「最低のクズ野郎じゃねえか……」
自分の愚かさに怒りを感じて、どうにもこうにもいられなくなって、俺はそう呟いた。
「高尾?」
俺の呟きを聞いたのか、赤司が小さく問いかけてきた。
「……赤司、真ちゃん、青峰。」
顔を上げて、三人の目を見た。
「大事な、話さなきゃいけねえことがあるんだ。」
「……一旦ホールに戻ろう。」
赤司のその一言に、俺達は無言で足を踏み出した。
「おかえりっス!随分早かったスけど、何かあったんスか?」
やや重い雰囲気で帰ってきた俺達に最初に話しかけたのは、黄瀬だった。
「特に問題はなかったよ。それより、高尾から話があるそうだ。」
全員が集まって座ったのを確認して、俺は話を切り出した。
「……言ってなかったことがあるんだ。本当なら、これからも言うつもりはなかったんだけどさ。」
考えろ、俺。
最善の策を。
どう言えば信じてくれる?どう言えば疑われない?
……いや、この際そんなことはどうでもいい。
どうすればこいつらはこの状況を理解する?
そう考えてまず浮かんだのは、自分の事を話すということだった。
「俺、ここに来てもう随分経つんだ。」
「……は?」
無意識に目を逸らしながら、それでも俺は、少しずつ話した。
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