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「…だから、行かなきゃ。」
ポツリとそう言うと、真ちゃんが呆然としてこっちを見てきた。
信じられない、どうして、こわい。
いろんな感情が混ざったような表情で、結構長い間見つめてくる。
そんな真ちゃんは今まで見たこともなくて、笑えることも何も言えずにただ見ていた。
でも、しばらくしてやっと絞り出したように言葉を放った。
「…今さっき行ったばかりなのだよ。」
一瞬何のことかと思った。頭の中だけぐるぐると回して、俺が行かなきゃ、って言ったことに対する返事か。という結論に至った。
「んなこと知ってんよw」
でも、急がなきゃ。
時間切れになる前に。
「少し休んでいくべきだ。」
少し下を向きながら真ちゃんが言う。
メガネが反射して、真ちゃんの表情が分からない。
でも、少なくとも口は笑ってなかった。
「へーきだってww今までも平気だったん…」
「外は危ないと、お前が言ったのだよ!!」
重ねられ叫ばれて、思わず笑顔が固まった。
突然の怒号。
「え、ちょ、真ちゃん…?」
「俺たちが外に出て危ないなら、お前も危ないに決まってるだろう!何故そうやって、いつもヘラヘラと…何故…」
怒りなのか、呆れなのか、真ちゃんの体が小さく震えていた。
でも俺には、どっちでもないような気がして。
真ちゃんが、泣いているような気がした。
「今行ってしまったら、消えてしまいそうな気がするのだよ…」
ああ、なんて。
なんて察しがいいんだよ。なんて。
どこか遠くで、そう思った。
「…俺は消えねーよw真ちゃん。」
馬鹿じゃねぇの、なんて笑ってやった。
「でもまー、真ちゃんがそこまで言うなら、少し休んでくわ。…だから、さ。みんなのとこ行こーぜ。」
ぽんと真ちゃんの背中を叩いて促す。
「そうするのだよ。」なんて言って顔を上げた真ちゃんになんだか笑っちゃったけど、真ちゃんは何も言わなかった。
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