アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
02
-
「俺、お前のことが好きなんだ!」
誰もいない放課後の教室。
思ってもみなかった龍巳からの告白に瑞輝は心の底から驚いた。
龍巳は明るい性格で誰からも好かれ、勉強もできる。さらにスポーツ万能でかっこいい。
人とコミュニケーションをとるのが苦手で人との関わりを避け、絵が人よりうまいということぐらいしか自慢できるようなことがないと思っている瑞輝とは正反対だった。
イギリス人と日本人の間に産まれた、金髪碧眼の美少年。人と関わろうとしないミステリアスな王子様。と女子の間で騒がれていたことは本人は知らない。
「えっと、好きって…」
「恋人になって欲しいってことだ」
恋人。
簡単に女子と付き合えるだろう人がなぜ僕なんかと恋人になりたいんだ?
瑞輝は戸惑う。
からかっている、と思うには龍巳の目は真剣すぎた。
きっと、演技ではない。
「僕、男だし。それに、その…」
恋愛対象として見たことはない、と言おうとして、瑞輝はあることに気付く。
心臓がバクバクしてる。龍巳からの告白を嬉しいと感じている。
なんで?相手は男だよ?
そして、さらに気付いてしまう。
今まで龍巳に対するよくわからない感情。憧れているんだ、その隣で笑えるような人になりたい。
憧れだと思っていた。
もしかして、これは……
「瑞輝。みずき!」
はっと目を覚ました瑞輝は、のぞき込む恋人と目を合わせる。
そして、そのまま恋人のキスを受け入れた。
毎朝の習慣だった。
「おはよう。アラームで起きないなんて珍しいな」
「おはよう。龍巳が告白してきたときの夢見てた」
瑞輝のその言葉に、龍巳は赤面する。
「そんな日のこと、早く忘れろ!」
「忘れるわけないじゃん」
ふふっと、瑞輝は笑う。
「ほら、早く朝ごはん」
龍巳に言われ、瑞輝は急いで顔を洗い、キッチンに立った。
慣れた手つきで野菜を刻んでいく。
「お待たせ」
完成した野菜スープとオムレツをテーブルへと運ぶ。
「ありがと。いただきます」
テレビを見ていた龍巳は丁寧に両手を揃えてから、朝ごはんを食べ始める。
瑞輝も席について、一緒に朝食をとる。
「そう言えば、絵の構成がなかなかうまくいかないって言ってたけど、どうなった?」
「あー。それ。知り合いにラフ送って相談してみたら、いいアドバス貰えて、線画まで終わったよ!」
龍巳が仕事に行ったら、色塗りだ。
朝ご飯を食べ終わり、龍巳は仕事へ行く支度を始める。
黒のスーツと白のシャツをパシッとキメる。
会社員のように見えるが、実際の仕事はわからない。
同棲しているにも関わらず、龍巳は自分の仕事の一切を瑞輝に話さなかった。
支度を終え、龍巳は玄関に向かう。
後ろから瑞輝もついていく。
「後ろ向いて」
言われたとおり、瑞輝は龍巳に背を向ける。
すると、龍巳は慣れた手つきで瑞輝に眼帯を付ける。
右眼は暗く閉ざされる。
眼帯をつけてもらい、瑞輝は振り向き、左眼だけで龍巳を見る。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
この右眼は、龍巳だけのもの…。僕のものでさえない…。
あの日の僕らはただ好き合ってただけなのに、どうしてこうなっちゃったんだろう…。
「さて、皿洗いしますか」
朝見た夢の続きを思い出しながら、瑞輝はリビングへと戻っていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 6