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体育祭5
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俺は夢を見ていた。
幼い頃の記憶の夢…
俺の白銀色の髪と青と金の左右の色が違う瞳を奇異の目で見てくる通りすがりの人達。
確か、その時は迷子だった気がする。
母さんと2人で出かけていて、好奇心旺盛だった俺は目に付くものがあれば気が済むまでそれを眺めていた。
まぁ、そのせいで迷子になったんだろうな…
俺を見て、通りすがる人は必ず気味が悪い、気持ち悪いと言ってくる。
それが嫌でフード付きのパーカーでよくフードを深くかぶり顔を伏せて外に出ていた。
だけど、その日は少し暑くてパーカー着てくるのを忘れていた。
母さんとははぐれ、迷子になり、パーカーもわすれ最悪な日だった。
それにお店の中ならいいものも…その日は外で街に出ていた。
通りすがる人は皆、必ず俺を見る。
見ないで欲しい…
ただ、それだけ思い続けた。
皆が俺を見て、何かを呟く。
耳の良い俺にははっきりと聞こえていた。
あんまりの恐怖にその場から動けなくなった。
泣くことも出来ず、その場から逃げることも出来ずに俺は立ちすくんでいた。
もしかしたら、自分は一生ここに立ちすくんでいるのではないかとさえ思った。
目を伏せてしまえばいいのに人の視線が気になって何故か出来ない…
どうしようもなくなってしまった俺に背後から話かけられた。
あれ?こんな記憶あったかな?
『君、迷子?大丈夫?』
少し、イントネーションの違う英語…
俺はただボーッとしていて軽く頷くことしか出来なかった。
『そっかー!ここは邪魔になるから移動しよっか』
俺の頭を背後からポンポンと撫でて、手を引かれた。
亜『えっ』
俺は突然の事で足をもつれさせながらついて行った。
俺よりもかなり背が高く太陽の光に照らされた金髪がキレイだった。
そんな少年に手を引かれてついて行く。
連れてこられたのは近くにあった公園。
『ここでいいかな?ちょっと、座ってて!』
少年は俺を公園のベンチに座らせると走り去ってしまった。
どうしたらいいのかもわからず、ベンチに膝を立てて座りその足の間に顔をうずくめる。
母さん、どこいったのかな…
思い出したかのように出てきそうな涙を唇を噛み耐える。
『ごめんね、待たせてた。サイダー飲める?』
そう言って缶タイプのサイダーをプルタブを開けて俺の手に握らした。
亜『あ、ありがと』
『いいえ』
俺は両手で缶を持ち、少しずつサイダーを飲む。
少年は俺の隣に座った。
『今更だけど、俺の言葉通じる?英語実際に使うの初めてなんだよね』
亜『通じるよ?もしかして日本から来たの?』
『うん!旅行!俺、ハーフでお父さんの血を濃く引いたせいでこの髪のこの目の色だけどお母さんは黒髪黒目の日本人!』
顔を上げ、少年の顔を見ようとしたのだが何故か晴れているのに少年の顔が翳って見えない。
亜『そうなんだ…俺は髪も目もこんな色だから…気味悪がられてばかりだよ』
再び、俺は顔を伏せる。
『そんな事ないと思うけど?』
亜『えっ』
俺は再び少年を見る。
やはり、顔は翳って見えない。
少年はピョンっと立つと俺の前にきた。
『君のその目の色も髪の色も俺は好きだよ。得にその金色の目、キレイだね』
顔は見えないのに少年が笑ったのが分かった。
亜『でも、皆気味が悪いって…』
『じゃあ、片目を隠しちゃえば?』
そう言って、少年は俺の金色の瞳を手で覆って隠してきた。
亜『そんな事しても変わらないよ』
『変わるよ。俺からは青い瞳しか見えない』
亜『それは君が隠してるからでしょ』
俺はムッとしていう。
『うん、俺が隠してるから見えない。それじゃ、駄目なの?』
亜『君が手をどけたら隠れないじゃん』
『あ、そっかー…そうだ!』
少年は覆っていた手を離してポケットに手を入れた。
亜『どうかしたの?』
『ちょっと、目つぶって!』
亜『?』
俺はいわれた通り目を瞑る。
『いいよって言うまで開けたらダメだよ』
亜『うん…』
布が擦れる音がする。
右眼に何かを押し当てられる。
シュルっとリボンでも結んでるかのような音が頭の後ろでする。
『いいよ!』
俺は目を開ける。
亜『片目が見えない』
『だって眼帯を着けたから』
亜『眼帯?』
『うん!この前、劇をした時に使ったの。ちょっと、気に入って持ってたの。これで俺が片目を隠さなくても隠れるでしょ?』
亜『隠れるけど、これは君のだから…それに気にいってるって…』
『いいよ、君にあげる!プレゼント!』
亜『プレゼントって…俺、何もあげるものないよ…』
んーっと少し少年は悩み始めた。
『あ、そうだ!』
亜『何かあった?』
『君の名前を教えてよ!』
亜『俺の名前?』
『うん!君の名前を教えてほしい!』
亜『それだけ…?』
『それだけ!』
亜『俺の名前はラウ』
そうだ、その時の俺は塑色亜芦でもなく美空島蘭羽でもなくただのラウだったんだ…
『ラウか…いい名前だね!俺はね、――っていうんだ』
名前が聞き取れない?
亜『ねぇ、もう一回i母『ラウ!やっと見付けた!』
亜『母さん!』
公園の入り口にいた母さんが走ってくる。
母『もう、どこいってたのよ!すぐ、迷子になるんだから!』
亜『ご、ごめんなさい』
母『ラウ、その目どうしたの?』
亜『貰ったの』
『ラウ!』
亜『?』
「また、会おな!」
少年がこちらに手をふると、公園の出口に向かっていく。
あの喋り方は…
亜『待って!ねぇ、待って!』
そう言っても少年は待たない。
亜『ねぇ…』
手を伸ばし俺は少年の名前を叫んだ。
亜「実哉!」
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