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大の男に対して、何でそんな言葉が出て来るんだよ。
俺は小学生でもなければ、か弱い女性でもない。
ましてや、マークさんは俺の親でもなければ、兄弟でもない。
ただのおとなりさんだ。
そこまで心配される筋合いはないはずだ。
「優希?」
「は?」
「何か、怒っているのですか?」
意味の分からないマークさんの過保護な言動に、なんだかイライラして、思わず睨んでしまっていた。
「別に……」
正直に『ウザイ。俺の事は、ほっといてくれ』って、言っていいものかどうか分からない。
今は堪えて、ため息をつくしかない気がする。
顔を背けた俺は、マークさんがどんな顔をしているのかも知らずに、家に着くまでの五分の間、話をする事なく黙々と歩いた。
「ただいまぁ」
俺達が家に入ると、バタバタと足音が聞こえて、母さんと茜が出迎えてくれた。
「お帰りなさい、遅かったわね」
母さんが少し心配そうな表情で俺に話しかけてくる。
「ごめん。ちょっと急用が出来ちゃってさ」
「早く帰って来るって言ってたのに!!」
「本当にごめんっ!」
母さんの横で喚く茜に、拝んで謝る。
今回は約束破った俺が全面的に悪い。
ここは平謝りするしかない。
「はいはい!とりあえずご飯食べるわよ!みんなお腹すかせて待ってたのよ。優ちゃんもお腹すいてるでしょ?」
俺と茜の間に割って入った母さんは、茜の背中を押してリビングへと向かわせた。
「ライアンさんもどうぞ、お入りになって」
俺の後ろで黙って立っていたマークさんにも、母さんは声をかける。
マークさんは微笑んだけど、なんだか悲しそうな顔をしていた。
もしかして……俺のせい、だよな。
母さんもマークさんの表情に気づいたみたいで、少し心配そうな顔をした。
リビングに移動すると、座席の1つ増えたテーブルに、いつもより確実に豪華な食事が並んでいた。
しかも二品もおかずが増えてる。
母さん、かなり頑張ったな。
母さんと茜はご飯や汁物を注いだり、運んだりせわしなく動いている。
父さんと俺が向かい合って座っている席の横に用意された席。
そこへマークさんが座った。
マークさんにも箸が用意されている。
「マークさん、箸で大丈夫?」
何気なく聞くと、マークさんは驚いたような顔をした。
「スプーンとかフォーク、出そうか?」
続けて聞くと、すごく安心したような表情をみせる。
「箸は使えますので、大丈夫です。お気遣いいただき、ありがとうございます」
そして、とても嬉しそうに答えた。
「そっか」
マークさんのコロコロ変わる表情に呆気にとられて、そんな相槌しか出来なかった。
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