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兄(表)2
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優しいし女子力(?)高いし。
黙ってたら螢はモテる。
残念ながら。
オレと同類だけど。
ゲイなんだよね、螢は。
「ありがと。」
パエリアの載った皿を受け取る。
ぷす、っと差した海老を口に入れ。
「でも、梓季にもう触れないのがヤだー。ちゅーしたいぃ。」
「お前、マジでやめろ。前から言ってんだろ。」
「………どーせするよ、兄さんは。僕が居なければ。」
和やかな食卓。
会話の内容の濃さが不釣り合いで。
グラスを手に持って一口。
二口、三口めで。
琉依が小型爆弾を投下してきた。
「それに、顔だけなら兄さんがいいでしょ?梓季。」
嫌みったらしく告げられる。
三口めの麦茶が喉に詰まり。
ぐっ…と何とか飲み下す。
螢はといえば。
顔色ひとつ変わらない。
片膝を立てて行儀が悪いのは昔から。
「あは、それさァ、琉依昔からずーっと言ってるねェ。
梓季は面食いだからしょーがないよ~。」
自分がイケメンなのは自覚あるのか。
って、違うから。
問題はそこじゃなくて。
勝手に兄弟喧嘩?
始まったけど。
食べてていいかな。
パエリアめっちゃ好き。
「…くそ兄貴。」
「ひどーい、可愛い弟の恋が成就したから、
梓季にはちゅーくらいまでにしとこーと思ったのにィ。」
「…キスもするな。しね。梓季、何黙ってるの?」
「え、いや、別に…。二人ともイケメンですよ。」
さらっと言って。
スプーンを置いて。
マグカップに入ったスープを飲む。
猫舌なのでフーフー。
二人にガン見されて視線は斜め下へ。
「見るなよ…二人して。」
「フフフ…かわいーねェ。梓季。」
「兄さん……調子にノらないでね。」
琉依はからかわれている。
端から見れば明らかだが。
かわいく見えて放っておく。
ムキになる琉依はめったに見れない。
チラっとこちらを見た螢。
ぱちっと眼が合って。
意味深な笑みを訝しげに見る。
ヘラヘラしていない。
少し寂しそうな。
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