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友達以上。 side 南
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「お前…よく食うよな。」
「そう?デカいからじゃない?」
「いや、5cmしか違わねぇのに倍は食ってんだろ。」
「南が少食なんだよ?顔もだけど、女の子みたいだよね。」
すげぇカチンとくるのは、女顔なのを気にしてるからだ。
部屋に戻って琉依が旅行先で行きたい場所の希望を
リストアップしてから、オレは書類を見てた。
たまに親父から渡されるそれは、穏やかな内容ではない。
小さく溜め息をついてからそれを引き出しにしまう。
「母親に似てんだよ、見てわかっただろうが。」
「美人だよね、お母さん。頭撫でられたけど。」
「かわいい若いのを愛でるのが、シュミだからな。」
「僕がノーマルだったら危なかったかもね。」
「気色わりぃこと言うな。」
首をポキッと鳴らして、デスクの椅子で脚を組んだ。
適当にテレビのチャンネルを変えてから、欠伸をひとつ。
「南、こっちに来て。」
ぽんぽんと琉依がラグを叩き隣に座れと言う。
今日はやたら甘ったれっつぅか、ベタベタしてくんだよな。
「ヤだね。よっぽどのことがねぇ限りヤる気ねぇし。
一線越えちまったら、三角が四角になるだろうが。」
「はは、上手いこと言うね。確かにそうだけど。」
「自分から飛び込みたかねぇよ。」
「半分くらいは足突っ込んでるよ、もう。」
諦めなよ、と綺麗に微笑む琉依。
人を巻き込むことを何とも思ってねぇんだろうな。
まぁ、その程度に懐に入れてくれてるってことか。
「自覚あんのか、お前。兄貴たちの二の舞になんぞ。」
「梓季たちほど依存はしてないと思うよ。」
「オレがならねぇ保証は、ないだろ。」
「南が?まぁ、それはそれで可愛いからいいけど。」
「飼えるか?お前に。オレが。」
「南は従順でしょ?実は。」
項垂れるしかない。
琉依の裏のありそうでないワイルドな笑みに。
ゆっくりと立ち上がり隣に腰を下ろせば、
肩口に琉依の頭が寄りかかるように乗せられて。
「腹が落ち着いたら風呂行ってこい。」
「わかった、ありがと。」
「兄貴たちに引き摺られ過ぎんなよ?
背伸びばっかしてっとダメんなるぞ。たまには甘えろ。」
「全部お見通し?でも梓季には甘えたくない。
僕が甘えたら、梓季は僕じゃなくて兄さんに甘えるからね。」
「お前さ、マジで愛されてんのか?それ。」
あっさりと核心を突いたのは、わざとだ。
ふっ、と自嘲気味な笑い声が聴こえてきた。
「兄さんより愛されてる自信はあるよ。繋がってる自信も。
でも、理解されてるとは思わないかな。だから…、」
ピアスごと耳たぶを舐められて、ぴくっと肩が揺れる。
間近に迫る瞳は光が欠けているように暗く。
奇妙に胸の辺りがざわついて、僅かに早く瞬いた。
「だから、甘えさせてよ…僕がもっと大人になるまで。」
「………勘弁しろ。オレをどうしてぇんだよ。ばかが。」
まだ、大丈夫だと思ってるのはオレの油断だろうか。
こいつに振り回されるのを嫌と言うのは口先だけで。
突き放す気なんてさらさらなくて、
琉依の恋人には逃げてきたら任せろと宣戦布告とも
取れることをバカみてぇに言っちまって。
「南のお父さんにバレたら大変だね。
18歳になったら、跡取りとして役職につくんでしょ?」
「それまでには決着ついてんだろ、さすがに。」
「うん。でも…友だちはやめないからね。
南に恋人が出来ても、結婚しても、僕は会いに来るよ。」
「あぁ。好きにしろ。…風呂行け、ほら。」
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