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つめたいひと 2
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「なに笑ってるの!?」
女性の切羽詰まった声を無視してせんせーは意地悪い笑顔でオレを見た。
どうせ女顔ですよー。
「あのー、おねーさん?オレ……」
「一回ヤったくらいで彼女面すんな。うぜぇ」
男ですよ?と言うオレの言葉はまたしても遮られた。
「なっ」
顔を硬らせて後ろによろつく女性。これはひどい。
「つーか、最初に言ったよな?面倒なのは嫌いだし、特定の相手を作る気ねぇって。お互い割りきってたよな?」
「で、でも……それでもあなたを好きになっちゃったんだから仕方ないじゃない!愛してるの!」
「はっきりいって迷惑。つか、俺お前の名前も思い出せねんだわ」
せんせーが冷たく笑った瞬間、パンと女性がせんせーの頬をぶった。
「本当に最低。あなたなんて、月城医院の息子じゃなかったら近付かなかったわよ!どれだけ親に甘やかされたらこうなるの!」
目に涙をため、立ち去る女性をオレは呆然と眺めていた。
せんせーは叩かれた頬を押さえることもなくどこまでも冷えた目をしていた。
「うん、まぁ、端から見ても最低だったよー」
「そりゃどうも」
「あはは。叩かれてやんのー。痛くない?自業自得だけどねぇ」
「うるせーよ」
どんな顔していいのかわからないけど、とりあえず、笑顔で嫌味を言ってみると同じく皮肉な笑顔で返された。
まぁ、人の恋愛にとやかく言うつもりないし、あの人もあの人でどうなのって部分あったけど。
「せんせーって彼女とか作らないの?モテるのにー」
「めんどくせぇの嫌いなの」
言うと思った。
「愛してるってまで言ってくれる人、中々いないよー?あの人はまぁおいといて、これから先ずーっと作らないのー?一人身は辛いよー?老後とかー」
「お前はいくつで老後の心配してんだよ。愛とかなんとか、ばかかってんだ。ガキか」
「あはは。うん、せんせーから見たらオレ充分ガキだよー。
そういえば、月城医院ってあの駅前のでっかい病院?せんせーおぼっちゃんなのー?」
「セレブですよー」
「ふぅん」
……何気なくふった話題だけど、空色の瞳が暗く見えて、その会話をやめた。
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