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つめたいひと 3
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せんせーの車をとって、ついでにゆーいちの家まで送ってもらった。
アポなしで訪ねてしまったけど、イギリスにいるころからゆーいちの家にはよく行ってたし、家族とも仲いいから大丈夫でしょ。
「あらあらまぁまぁ。ルリ君!日本に来てるって雄一から聞いてたけど、本当に来てたのね~♪ゆみちゃん嬉しいわぁ♪」
「オレも久しぶりにゆみちゃんにあえて嬉しい。ゆみちゃん、ぎゅーしてー」
「はー、もう、ルリ君天使。うちのバカ息子と交換したいわ。ぎゅー!」
「聞こえてんぞババァ。いい年こいてひとの友達にちゃん付けを強要すんじゃねぇ」
想像通り、イギリスにいた頃のように暖かくオレを包んでくれるゆーいちのお母さん。
オレに雑炊のレシピを教えてくれた人。
懐かしくて優しい匂いに、胸が暖かくなった。
オレ、付き合うならゆみちゃんみたいな女性がいいなぁ。
小柄で可愛くて、優しくて、逞しい、帰ってきたくなる感じの女性。
「やぁだ、ルリ君また痩せたでしょう?今日はルリ君の大好きなピラフ作ってあげるから夕飯食べてってね♪」
「いいの?ゆみちゃんのピラフ世界で一番すき!うれしー!」
「あたしも喜んでもらえて嬉しいわよぉ!あとでジュースとお菓子持ってってあげるから部屋で雄一の相手お願いねん」
「あ、ゆみちゃん。これ、シュークリーム買ってきたからみんなで食べてー。ゆみちゃん、好きだったよね?」
「やだー!もう!気を使わなくていいのに!どれだけできた子なの!ありがとう」
ゆみちゃんにシュークリームを渡し、2階にある雄一の部屋にあがった。
ベットにごろんと寝転がると、ゆーいちがクッションを投げてきた。
「我が物面で人のベット使うんじゃねぇ」
「いーじゃん。オレお前のは全部オレのだって思ってるからさ」
「お前が思ってるだけじゃねぇか」
ゆーいちの突っ込みは無視して、部屋をキョロっと見渡した。
「ゆーすけは?」
「あー、部屋別々なんだよ。今は部活行ってるけど午前中って行ってたし、もう帰ってくんじゃん?」
「久しぶりに会いたいなぁ」
ゆーすけとは、ゆーいちの弟。オレにとっても弟のようなもので。たしか今年の春、中学にあがったはず。
生意気だけど、可愛いんだよなぁ。
「あ、そういえばさー、月城せんせーって、月城医院の息子なのー?」
ふと先ほどの出来事を思いだし尋ねると「何を今さら」とあっさり返された。
「ふぅん。有名なんだー」
せんせーは、なんだか言いたくなさそうな雰囲気だったけど。
「有名っつーか、月城医院の先生は愛妻家で有明なんだよ。ほら、先生って本当の子供じゃないらしいじゃん?奥さんと浮気相手の子供で、反省する奥さんを許してその子供にも無償の愛を捧げたって。本当に心の優しい先生だって一時期テレビとかにも出てたぞ」
「へぇ」
それであの女性はせんせーに取り入ろうとしたんだ。
なぜだか、少し、さっきのせんせーの横顔を思い出して寂しい気持ちになった。
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