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合宿 1
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あっという間に金曜日。
バイトはなんとか休みがとれて、今日から二泊の合宿が始まる。
って言っても、オレは部活自体初参加なんだけどね。
「じゃー、ゴム弓から始めるから二人一組で射をお互いに見ながらはじめろー」
始めに神棚にみんなで手を合わせると、部長?らしき人がパンパンと二回手を叩いて、いよいよ練習がスタートした。
二人一組って言っても、ね。
幽霊部員が多いと言っても、やっぱり誰か友達同士で入った人が多いらしく、一人ぽつんと取り残されてしまった。
なんか、チラチラと見られる視線も気になるし。
「ん?なんだ?余ってるのか?」
ぼーっと、弓道教本を読んでると、さっきの部長が見下ろしてきた。
なんつーか、ゴツい。
身長は標準なんだろうけど、筋肉が高校生とはおもえないほどガッシリついていて、顔も凛々しい。
「あ、はい」
「ならそう言え。サボってるようにしか見えんだろう」
「あはは。ごめんなさい」
サボってたんですよー。まぎれもなく。
あーあ。ほんと早く帰りたい。
「仕方ないな。俺と組むか。お前だろ?噂の転校生」
「うわさー?」
「保健室のサボり姫って、呼ばれてるぞ」
「えー?はじめて聞きましたー」
「顔はとびっきり綺麗なのに、とんでもない不良であの保健室の王様を手懐けた強者だってな」
ハハハッと、男らしく部長は笑うけど。こっちは笑えない。喧嘩もしないし、成績だってかなりいい方なのに。
大体、保健室の王様ってあの人のことでしょ?あんな魔王手懐けれるわけないだろ。
「どーせ、体売って保健室に居座ってんだろ」
「ぷ。おいやめろって」
「ははっ。あの顔だしあり得なくないよな。せんせ~ん。毎日ヤらせるから寝かせて~んって」
少し離れた所にいた三人組がクスクスと笑い話をあからさまに聞こえるように話していた。
馬鹿じゃないの。それしか話す内容ねーのかよ。くだらない。
「そこ!!!無駄な話を練習中にするな!!校庭10週!!!」
上からオレでもびくっとしてしまう程の大声に顔をあげると部長が先程の三人組を凄まじい迫力で睨んでいた。
「ヒィッはい!!!」
いそいそと靴をはき、外に駆け出した三人組を尻目に部長は柔らかい表情を作った。
「すまないな。俺が下らない噂話をしたせいだ」
「いえいえ。全然気にしてないですよー」
庇ってくれたのは嬉しいけど、この人怒らせたら怖い。
この合宿が終わればやはりこの部活に寄り付くことはないだろう。
「さて、早くゴム弓をしよう。そろそろ先生も来るだろうし、部長の俺がこれではな」
「はーい、よろしくお願いしまーす」
「…………」
「なんですか?」
「いや、なんでもない」
一瞬固まったけど、部長は顔をふり弓道の基本となるゴム弓を渡してきた。
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