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合宿 2
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「そう、そこで弓を大きく両手であげて、一度息をつく。肩をあげないよう注意して、引き分け一度とめ、もう一度息をつく。この形が第三だ」
ひとつひとつの流れがゆっくりで、当然力をいれている時間も長く、腕がプルプルと震える。
もうさっさも手を放してしまいたい。
「お前は覚えが本当に早いな。ここまでは完璧だ」
「あはは。よく言われます」
そんなこと本当に言われ慣れてるから早く次にしてくれ。
「じゃあ、次はゆっくりと肩甲骨を回すように大きく引き分けるんだが、気持ち分少しだけ左優先で降ろすんだ。矢となる部分のゴムはぴったりとくっつけて、口の位置まできたらのびきった状態だ。これが口割り」
あーーーーー、もう限界。本当に限界。腕いたい。
ついに放してしまいそうに右手の力が緩んだ瞬間。
「放せ」
部長の声と同時にパァンとゴムがはなれた。そして、同時に頬に叩かれたような痛みが走った。
「ん?顔をぶつけたか?でもほぼ完璧だったぞ。あと2、3回ゴム弓したら弓を持たせて大丈夫だろう」
「あ、はい」
いやいやいや、普通に痛いから。ゴムでこれだけ痛かったら弦で弾かれたらどうなるの。怖いんだけど。
「じゃあ、もう一回。足踏みから」
「はい」
そんな気持ちは一切見せず、へらっと笑いもう一度ゴム弓を構えた。
そして、弓構えのところで、部長がするりと後ろからお腹を撫でてきた。
「ここの、へそのした。力意識しろ」
「はい」
「それから、尻も」
「ひぃあっ」
がしっと捕まえられ、思わずビクッと前に逃げてしまった。
「なんだ?尻に力をいれろと教本にも書いてあっただろ。練習中だぞ」
そう言うものなのか?
まぁ、さっき助けてもらった人を疑う訳じゃないけど。
「あははーすみません」
「ほら、もう一度始めからだ」
「はい」
足踏み、胴作り、弓構え。やはり、ここでいくら力をいれることを意識しててもお尻を掴んできた。
「ん。よし。今度はちゃんと力入ってるな」
そのまま、撫でられ全身に鳥肌がたった。
とはいえ、他の部員もいるし、オレが意識しすぎなのかな。
そのまま、さっき言われた内容をさっきより集中して、打ち起こし、引き分け、開までもっていった。
パァンと、離れるとパチパチと拍手をもらえた。
「よし。バッチリだ。そのまま弓を持たせよう」
返事をする前にゴム弓を取られ、変な形の手袋を渡された。
「これを右手に………」
「まて。初めて初日のやつに弓を引かせるな」
部長の遮る声の方を見ると、せんせーが気だるそうにタバコをふかしながら入口に立っていた。
「おつかれしゃーーす!!!」
一斉に部員が頭を下げオレも合わせて頭を下げた。
この体育会系的なノリ二泊も続くの?普通にいやなんだけど。
「初心者にはこの合宿中基礎以外させるな。怪我でもしたら面倒だろ、俺が。あとは部長に任せてあるからてきとーにやれ」
「はい!」
こんなてきとーな言葉にもみんな元気よく声を揃えて返事をする。
体調悪いとか言ってかえろーかな?
そんなことを考えてると休憩に入ったので、せんせーに嫌みのひとつでも言おうかと思ったら、すでに周りに人だかりが出来ていた。
「月城先生さ、全然練習見に来てくれねーじゃん。俺先生が顧問だから入ったのに」
「ぼくもー。てか、先生弓道できんの?」
「俺の射見てよ」
……忘れてたけど、ここは男子校で、いわゆるそういう人達も多くて、せんせーは一番人気、なんだったっけ?
転校初日にゆーいちに言われたことを思いだし思わず苦笑。
せんせーも、ハイハイとあしらいながらも楽しそうに話してるし。
なんか、ね。
フレンドリーな先生ではあるけど、少し、見ていてもやっとしたのは、たぶん気のせいなんだろう。
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