アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
GW
-
そういえば蒼羽以外を家にいれたのは初めてだ。
アンジェリーは家に上がると、キョロキョロすることもなく、いつもの保健室にでもいるようにゆったり笑った。
「一人暮らしなのにいい家に住んでるねー。オレの家が狭すぎてせんせーに見せたのはずかしいんだけどー」
「大人ですから。そこのソファーに座ってろ」
「どもー」
家の救護セットを使うのも、初めてかもしれない。
中はすべて新品で問題ないのを確認して、手を水で洗いアルコールで消毒した。
「オラ、脱げ」
「えっちー」
「無理矢理ひんむかれたくなかったらその下手くそな手当ても全部取れよ」
けらけらと笑うアンジェリーを軽く小突くと、「ほんとに大したことないのにー」と上着を脱いだ。
その体を見て、思わず息を飲む。
右頬の顎まで隠れていた大きいガーゼは赤黒く変色したアザや、前髪で隠れていた額からは血のあとが残る包帯。手首には押さえ付けられたようなアザ、他にも痛々しくいろんなところにアザが残っていて、言葉につまった。
「大したことだろ…」
「ギャグ漫画みたいなこけかたしたからなぁ。えへへ。お恥ずかしい」
感情のこもらないアンジェリーの乾いた笑いに少し、胸が詰まった。
だから、もうほぼ的中してるであろう言葉はすんなりと口からこぼれた。
「お前さ、向こうで家族のだれかに虐待されてるだろ」
アンジェリーは、言われるとわかっていたように、「なわけないじゃん」と、一笑した。
その姿すら痛々しい。
俺がこいつくらいのとき、笑えていただろうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 985