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距離感 3
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ゆーいちの家のすぐ近くのコンビニに車を止めてもらい、もう一度ちゃんとお礼を言おうと、せんせーの方に体を向けた。
「せんせー、怪我の手当てに送ってまでくれてありがとー。それと、今日話聞けて嬉しかったよー」
「ん。もう傷作るなよ。次はほっとくからな。めんどくせぇし」
「あははっ。そんなこと言って優しいからほっとかないくせにー。こーゆーのあれでしょ?ツンデレってやつ~」
「やっぱり調教が必要か?」
ニコと腹黒い笑みを向けられ、ゾッとする。ほんと、なにが保健室の王様だよ。魔王だろ。
「せんせー、ほんとうに顔こわいよー。これあげるから見逃して?」
笑ってごまかしながら準備していた小包をせんせーに差し出した。
なんだこれ?と、つまむせんせーにもう一度笑って「内緒」と答えた。
「さっき言ったでしょー?お土産あるって。日頃の感謝をこめた心ばかりのお礼です」
「賄賂の間違いだろ」
「あはは。バレた?これからも保健室のふかふかのベットで寝かせてねー」
せんせーはオレの頭を小突きながら「あほ」とふっと笑った。
ああ、やっぱり。このひとの笑顔を見るだけでなんか泣きそう。とか。
今日のオレはやっぱりおかしい。
「じゃーね。せんせー。また学校で」
なんとか笑顔で手を降るとせんせーは軽く手をあげて行ってしまった。
自分の感情に納得のいかないまま、ゆーいちの家に早足で向かい、ゆーいちの家のチャイムを鳴らすころに落ち着いていた。
「あら!ルリくん!やだ!なにその怪我!あなたはもうほんと昔から怪我ばっかりしてるんだから~!」
オレの顔を見てぎょっとした顔でゆみちゃんが抱きついてきた。
その体を受け止めながら懐かしいなって思う。
イギリスにいる頃もこうだったから。
いつもこの人の腕に包まれて安心していた。
「ゆみちゃん、いたいよー。イギリスに行ってたからお土産あるよー」
「まぁた昔の悪いお友だちとやんちゃしてきたんでしょ~!もうもう!おばかさん!だめよ!」
ああ、この明るい声が、好きだ。
安心する。
「ごめんなさーい。ねぇねぇ、今日は、ゆーいちいる?」
「2階よ。ジュース持っていくから、ゆっくりしていってね。今日は晩ごはん何が食べたい?」
当たり前のようにご飯を聞いてくるゆみちゃんに、また自然と笑い返した。
「ゆみちゃんの作るごはんは何でも美味しいからえらべないよー」
「あら!そんなこと言われたら張り切っちゃうじゃない!ねぇ、やっぱりうちで一緒に住みましょうよ!」
「あはは。また泊まりにくるね」
ゆみちゃんの腕から抜け出し、階段へ上がりながらも、ゆみちゃんは「ほんとうに住みましょうよ!」って言っててくれた。
オレ、昔は本当にゆみちゃんと結婚するっておもってたんだよね。
ゆみちゃんお嫁さんに来てって言ったら、嬉しそうにいくいく!って言ってくれたから。
今はね、ゆみちゃんがオレのお母さんとかお姉さんだったらよかったのにって少し思うよ。
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