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距離感 4
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「ゆーいちー。きったよー」
部屋のドアをノックもなしに開けるとゆーいちーは、ベットの上で安らかに寝息をたてていた。
ベットまでの短い距離を軽く助走をつけてゆーいちーの上に飛び乗った。
「ぐぇっ」
突然のことに軽く咳き込みながら、目を白黒させているゆーいちーに、「おはよう」と意地悪く微笑む。
「あー、んだよ。ルリかよ。帰ってきたの?」
「うん、ただいまー。会いたかったでしょー。真っ先に会いに来てやったぜー」
オレの体重なんて、全く感じないように軽々と抱えられたまま起き上がったゆーいちーはまだ眠たそうに大きくあくびをしている。
「普通に起こせよな」
「連休だからって夕方からグースカピースカ寝てるゆーいちーが悪いんだよー」
「てか、その怪我………あー、いいや。あんま無茶すんなよ。貧弱なんだから」
「誰が貧弱だって?」
オレの頬の大きなガーゼに触れて、気まずそうに手を引っ込められた。
オレが、イギリスで荒れて喧嘩ばかりしていた時期を知ってるからか、ゆーいちーはオレの怪我にたいして周りほど敏感じゃない。
だからこそ、居心地がいい。気を使わないというか。
『お前は器用なのか不器用なのかわからねーやつだな』
あんな風に、優しく触れられると正直どうしていいのかわからなくなる。
「てか、宿題終わった?」
手に巻かれた包帯を見てせんせーのことを考えていると、ゆーいちーが話題を変えてきた。
「あんなもん。初日で終わらせるものでしょー」
「お前、不良の癖に真面目に宿題なんてやってんじゃねーよ」
「学年4位の秀才になんてこというかな」
てか、不良じゃないし。器用なだけで。
「そんなこと言うなら写させないよー」
持ってきていたノートをひらひらさせると、手のひらを返したようにゆーいちーが「ルリ様」なんて言い出すから、仕方なくノートをそのまま渡してあげた。
さっきまでのんきに昼寝していたやつとは思えない必死の形相で写しだすゆーいちーのノートを覗きこむと、きれいに真っ白だった。
こいつ。はじめからオレの写すつもりだったな。
まぁ、いいけどさ。
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