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妬み 2
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あっという間に保健室についてしまい、またため息が溢れた。
『……って、女か。オレは』
母国語で小さく毒づくと、まぁ、なるようになるだろうとドアに手をかけた。
「やっほーせんせー。眠りに来たよー」
さっきまで悩んでたのは笑顔に隠して努めて明るく中に入った。
「堂々とサボりに来んじゃねぇよ」
振り返ったせんせーは相変わらずの余裕の笑顔。
「成績になんの問題もないからいいのいいのー」
「そうかよ」
気を使ってくれてるのかな。告白する前と変わらない態度。
ありがたいような、がっかりしたような。
もしかして、めんどくさいからってなかったことにしようとしてる?
ああ。うん。あり得る。
てか、そうに違いない。
……それは、ちょっとやだな。
「せんせー?好きだよって言ったの覚えてる?」
パソコンの前に座ってるせんせーの背中に抱き付いてみる。
まぁ、抱き付くのは、せんせーに限らずクラスの友達やゆーいちにもよくやるけど、なんだか今は少し緊張する。
「はいはい。生徒に慕われて先生冥利につきますよ」
どうでもよさそうに笑うせんせーにムッとしてしまう。
でも、ゆっくり時間をかけて信じてもらうしかないのだろうと思う。
そのかかる時間は、せんせーの傷の大きさに比例すると思うから。
「いいもん。これから毎日アタックするから覚悟しといてねー」
「めんどくせぇ。放り出すぞ」
「きゃー」
あんまりしつこく言ってめんどくさいって思われたくないから、これくらいで笑って離れる。
ああ、うん。やっぱりオレこの人のこと好きなんだ。
今離れるのはベストなタイミングなのに、もう少しくっついていたいとか、そんなことを思ってしまう。
じゃあそれ以上が出来るのかと聞かれると、男同士でとか、気持ち悪いとしか思えないけど、せんせーにくっつくのは、安心するしドキドキもする。
振り向いてほしいなんて、思わない。
男同士とか、先生だからとかじゃなくて、こんなにも汚れたオレには、あなたは勿体ないから。
だから、いつか他人の愛情を受け入れるようになって、素敵な人と幸せになってほしい。
その未来に、オレがいないにしても、いつか、こんなやつもいたなって思ってほしい。
これから、卒業まで、毎日愛をこの人に伝えていくのだと、このとき確かに決意していた。
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