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妬み 3
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せんせーに好きだと伝えて早二週間。
あれから毎日気持ちを伝えてるし、一日一回抱きついたりしてるけど、せんせーにはひらりひらりと上手にあしらわれていた。
一度、どうしてめんどくさいって言いながらも保健室から追い出さないのって聞いたら、また屋上とかでサボるようになって、変なことに巻き込まれたら厄介だから、だそうだ。
いくら一度そういう現場を見たからと言って、そうそう起こることじゃないってわかってるくせに、せんせーは心配性だ。
オレのことめんどくさいって思ってるくせに、優しいから突き放せないのか、相手にすらされてないのか。
半々かなぁ。
「────っと」
そんなことを考えながら階段を降りていると、くらりと視界が歪んでとっさに手すりに捕まる。
『……危なかった』
最近、一気に暑くなってきたし、バイトも連勤続きでまともに睡眠がとれてなかった。
認めたくないけど、昔から体は丈夫じゃなくてよく体調を崩していた。
特に今日はここ最近で一番よくないかもしれない。
次は古典。苦手な教科だから授業に出たいけど、一時間だけ寝よう。一時間寝て、早退するかどうか考えよう。
そう決めて、保健室に向かった。
「せんせー。ねむたーい。寝かせてー」
体調が悪いなんてカッコ悪いからいつもと同じ笑顔。
「またかよ。…………あー」
振り返ったせんせーはオレの顔を見て少し止まり、ため息をついた。
なに?と、思っていると、そのまませんせーは冷蔵庫から冷えピタを取り出した。
「ほら」
「え、わ、なにー?」
ぽいっと投げられ、なんとか取る。
「変な虚勢張らなくていいから大人しく寝てろ」
もしかして、オレが体調悪いの気付いたのかな?
うそ。オレ、こんなの今まで気付かれたことない。
「あはは。本物の病人みたいなあつかいー」
「うるせぇ。寝ろ」
「はーい。ありがとー」
やっぱり、この人は人のことに聡くて暖かい。
受け取った冷えピタをおでこに貼ると、いつものベットに潜り込んだ。
目を閉じるとだんだんと重たくなっていく瞼に逆らわず、意識を手放した。
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