アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
妬み 4
-
───────
授業の終わりを知らせるチャイムの音で目が覚めた。
だるい頭を抱えて起き上がると、外から小さな笑い声。
だれかいるのかな?と、そっとカーテンを開けると、せんせーと小柄な男子生徒がいた。
中学生くらいに幼く見えるけど、ネクタイの色が同じだから高校二年生なのだろう。
「起きたか。気分は?」
せんせーとすぐに目が合い、ドキッとする。
「うん、めっちゃ寝たから超よくなったよー」
うそ。一度寝たら余計に悪化したから、今日はこのまま早退しようと思った。
「お前さぁ………」
せんせーが呆れたようにため息をついてなにかを言おうとしたら、男の子が言葉を遮った。
「保健室のさぼり姫……?」
なんかそれ、たまに言われるんだけど。
サボってばっかいるうちにそんなコードネームがついてしまったらしい。
思わず笑ってしまう。
「あはは。姫ってー。はじめましてだよねー。オレ、リチェール・アンジェリーです」
「しってる。部活の合宿のとき、僕もいた」
「え、そうなのー?ごめんねー。あんまり部活行かないから、まだ全員の名前覚えれてなかった。名前聞いてもいいー?」
使わせてもらったシーツを畳み終わって、近くに行くと彼は無表情のまま目を会わせた。
うわ、かわいい顔。大きな黒い目に、綺麗な黒髪。身長はたぶん160もない。
男にしては少しふっくらした体型が余計に女の子のようで愛らしい。
「折山累(オリヤマ・ルイ)……」
ついでに、声までもかわいい。
「累くんよろしくねー」
「よろ、しく」
控えめに出された小さな右手を掴むと、びくっと怯えたように肩が揺れる。
右の袖から少し覗いた手首には、包帯が巻かれていた。
ああ、そういうこと。
もちろん、そんなことは気付いたことを気付かれないように笑って手を離した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 985